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<WBSCプレミア12プレビュー>
稲葉篤紀「金メダルへの第一歩」

posted2019/10/31 11:15

 
<WBSCプレミア12プレビュー>稲葉篤紀「金メダルへの第一歩」<Number Web> photograph by Shigeyoshi Ohi

text by

石田雄太

石田雄太Yuta Ishida

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Shigeyoshi Ohi

11月2日に開幕する第2回WBSCプレミア12は、来年の東京オリンピックを見据える重要な戦いだ。すでに開催国枠でオリンピックの出場権は得ているものの、出場権を獲得しようと真剣に挑んでくる相手にどのような戦いをするのか。プレミア12の優勝で勢いを得て、来夏、悲願の金メダルを獲得するために、稲葉篤紀代表監督がその戦略を語る。(10月2日取材)

――稲葉監督にとって『侍』というのはどういうイメージですか。

稲葉 侍と言えば武士道です。礼儀とか挨拶、礼に始まり礼に終わる人間性を僕はとても大事にしています。人間性は技術というところにもつながってきます。侍ジャパンで言うなら、グラウンド内で唾を吐かない、ベンチの中ではユニフォームをきちんと着て、帽子をしっかりかぶる。そういうことができる選手は野球も上手くなります。だからそういうところを選手たちにも大事にしてほしいと考えています。

――今回、28人の侍で第2回のプレミア12に挑むわけですが、この大会にはどういう思いで臨みますか。

稲葉 目標は勝つというところに尽きると思います。来年の東京オリンピックを見据えた大会だという見方もされていますが、プレミア12はあくまでもプレミア12です。ここはまず、しっかり勝ちにいくということを考えています。

――日本は11月5日から3日間、ベネズエラ、プエルトリコ、台湾を相手に台湾でプレミア12のオープニングラウンドを戦います。この3試合、どういうローテーションで行くのか、そのイメージはできあがっているんでしょうか。

稲葉 先発の3人は、なんとなくの構想は持っています。プレミア12はオープニングラウンドが台湾で3試合、スーパーラウンドが日本で4試合、そしてファイナルと進んでいくわけですが、この方式だと1つも負けられない戦いにならざるを得ません。1つ負けたことで決勝に出られなくなる可能性がありますから、まずベストの3人でローテーションを組んで、台湾での3つを絶対に勝ちにいこうと考えています。

――抑えは固定するんですか。

稲葉 抑えについては右の山﨑康晃(DeNA)、左の松井裕樹(楽天)の2人を選びましたが、ここは最後をどちらとは決めず、流動的に考えています。リリーフ専門のピッチャーは右の森原康平(楽天)、左の中川皓太、田口麗斗(ともに巨人)とあわせて5人いますから、左と右をどうつないで、最後、抑えまで持って行くのか。いろんなことを加味しながら決めていくつもりです。

――もう1人、投手陣には貴重なジョーカーもいます。

稲葉 山本由伸ですね。今シーズン、最優秀防御率のタイトルを獲ったオリックスの先発ピッチャーですが、彼にはリリーフの経験もあります。中継ぎ、抑えも含めて山本をどう使っていくか、どう使えばこのチームで活きるのかというところは慎重に考えていく必要があると思っています。彼の一番の特徴は、初球から自分のボールをしっかり投げられるところ。国際試合ではそれがすごく大事で、先発ピッチャーというのは立ち上がりが難しくて徐々によくなっていくタイプが多いんですが、彼の場合は初球からドーンと自分の一番いいボールを投げられます。だから、山本を後ろで使うのはおもしろいのかなと感じています。

――稲葉監督は今回のチームを「パワーとスピード、経験の3つのバランスが取れている」と表現しましたが、とりわけスピードという点で、トップチーム初選出の周東佑京を加えました。彼は今年、育成から支配下に上がったばかりの、ソフトバンクではまだレギュラーでもない選手です。周東は今シーズン、主に代走として25盗塁、成功率.833という数字を残しましたが、1点を競う国際試合の終盤、延長もあり得る場面でレギュラーに代走を送る決断は難しいところもあると思うのですが……。

稲葉 僕は、9回で野球が終わると考えます。延長のことを考えて出し惜しみするより、9回で野球をどう終えるかということを優先させて、どんどん代えていったほうがいいと思っています。今シーズン、周東はここという場面で盗塁を成功させてきました。あれだけ警戒されている中、走れる勇気を持っている選手というのは強いと思います。彼は今年、育成枠から支配下登録されて、一軍で活躍できる場所を見つけました。足でチームに信頼されるようになったんです。そうやって這い上がってきた選手ならではの心の強さというものも、周東は持ち合わせています。僕はそこに賭けてみようと思いました。足だけでなく、外野手としての守備も評価していますし、周東のことは代走、守備固めのスペシャリストとして考えています。

――パワーという点はいかがですか。

稲葉 そこはもちろん吉田正尚(オリックス)、鈴木誠也(広島)に期待していますし、浅村栄斗(楽天)もホームランを打てます。前回、2017年のWBCを見ても、日本がホームランで得点するシーンをよく見ました。日本の野球はスピードと緻密さだけでなく、パワーでも勝ってきているんです。だから日本が世界で勝つためには、スピードとパワーは両方とも必要だと思っています。

【次ページ】 複数リーダー制のほうがまとまったときは力を発揮する。

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