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大坂なおみと新世代女王候補が激突!
賞金大幅増のWTAファイナルズ展望。
posted2019/10/25 11:00
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph by
AP/AFLO
全米オープン・チャンピオン、全豪オープン・チャンピオン、世界ランキング1位――大坂なおみがこの1年あまりで次々に手にしてきた栄光。その輝かしい肩書きにふさわしいテニスを、ようやくここにきて取り戻し始めた。
生まれ故郷でもある大阪で開催された東レパンパシフィック・オープンがきっかけになったと言っていいだろう。そこでつかんだものが、1月に全豪オープンを制して以来のタイトルと、安堵と自信だった。
翌週の北京で、東レよりも格の高い『プレミア・マンダトリー』にあたるチャイナ・オープンも制覇。大阪ではトップ20と一度も対戦しなかったが、北京では準々決勝以降、6位のビアンカ・アンドレスク、19位のカロライン・ウォズニアッキ、1位のアシュリー・バーティと、グランドスラム・タイトルを持つ豪華な顔ぶれを次々と倒した。
重圧に勝った「10連勝」の価値。
こうして東レPPOから数えて10連勝を挙げている大坂が、昨年の<リベンジ>もかけて今シーズン最後に挑む大会が、今月27日に中国の深センで開幕するWTAファイナルズだ。
シーズンの成績上位8人のみに出場資格がある夢のエリート大会。昨年は、大坂にとって苦い初体験だった。トップ中のトップの顔ぶれの中でももっとも熱い注目を浴びながら、ラウンドロビンで1勝もできずに敗退したのだ。最後は足の付け根のケガによる途中棄権という幕切れでもあった。
あのときはまだ本当の意味でのプレッシャーを知らなかった大坂は、この1年であらゆるプレッシャーを経験してきた。グランドスラム・チャンピオンの重圧、世界1位の重圧、ディフェンディング・チャンピオンの重圧、そして何よりもその中で結果を残せないままコートに立つ重圧。<10連勝>はそうした重圧に対する勝利を意味する。