ラグビーPRESSBACK NUMBER
勇気とパワーとセンスで奪う。
姫野和樹が得意なジャッカルって?
text by
多羅正崇Masataka Tara
photograph by7044/AFLO
posted2019/10/19 20:30
姫野和樹の代名詞となりつつある「ジャッカル」。密集でのプレーはセンスも重要だ。
ピンチを救った姫野のビッグプレー。
そのジャッカルは今、日本代表の躍進を支えるNo.8姫野の代名詞になりつつある。
姫野が見せた最高のジャッカルプレーのひとつが、アイルランド戦の後半25分だったろう。
日本はLOジェームス・ムーアを筆頭にタックルの雨を降らし、残り15分で優勝候補アイルランドを16-12でリードしていた。こんなはずではない。焦燥に駆られたアイルランドは、最も確実な方法で少しずつ前進しようとした。大型フォワードによる近場勝負だ。
ラックからボールを持ち出して、近場にフォワードを当てていく。日本は重圧を受けて徐々に後退した。アイルランドの逆転トライまで、あと10メートル、あと9メートル、あと8メートル。まさに窮地だった。
そこで姫野が寝転んだアイルランドのジェームズ・ライアンに絡みついた。剥がされかけるが、ひるまない。アイルランドのライアンはボールを離さず、ここでレフリーが「ノットリリースザボール」の反則をコール。一発逆転。起死回生。ジャッカルによる反則誘発が局面を一変させた。
姫野は10月20日、南アフリカとの準々決勝に8番を背負って先発する。リザーブスタートとなったジャパンの大砲、アマナキ・レレイ・マフィもジャッカルを十八番にしている。果たして大一番でスーパープレーは飛び出すだろうか。