ラグビーPRESSBACK NUMBER
勇気とパワーとセンスで奪う。
姫野和樹が得意なジャッカルって?
text by
多羅正崇Masataka Tara
photograph by7044/AFLO
posted2019/10/19 20:30
姫野和樹の代名詞となりつつある「ジャッカル」。密集でのプレーはセンスも重要だ。
奪えなくても反則を誘発。
ただ一瞬の“ジャッカル・チャンス”を捉えたとしても、勇気がなければジャッカルはできない。相手はかならずスピードをつけてぶつかってくる。痛みを覚悟した上で、倒れた相手プレイヤーに覆いかぶさるのだ。
ここで、寝転んだ相手プレイヤーからボールを強奪するプレーが「ジャッカル」だ。ぶつかってくる相手にひるまない勇気、強靱な足腰、ボールを奪う腕力が必要になる。相手の身体を掴むなどの細かいスキルもある。
もしも、そのまま相手がボールを離さずにいたとしても、「ノットリリースザボール」の反則となり、ペナルティーキックを得て攻守交代となる。この場合は厳密にはジャッカルではなく、ジャッカルを試みたことによる反則の誘発。しかし一連の出来事を便宜的にジャッカルと呼ぶこともある。
ジャッカルは運動量豊富で、度胸があり、強烈なプレッシャーの中で強靱なフィジカルとスキルを発揮できる――心技体の充実した猛者による好プレーなのだ。
ボールを奪う名手、ジョージ・スミス。
ジャッカルというラグビー用語の由来には、元オーストラリア代表でサントリーでもプレーしたジョージ・スミスが関係している。
2000年の代表デビューからオーストラリア代表で111キャップを重ねた名バックロー(FW第3列)は、倒れた相手からボールを奪う名手だった。そのスミスがどう猛な動物にちなみ「ジャッカル」と呼ばれていたことから、プレーの名前として広まったと言われている。