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4年連続無冠ガンバが立ち直るため、
宮本監督が残留争いで試されるもの。
text by
下薗昌記Masaki Shimozono
photograph byGetty Images
posted2019/10/18 19:30
昨シーズンは不振にあえぐガンバを救った宮本恒靖監督。今季のターゲットは「残留」、この1つに絞られた。
ベテランへの手厚さがあれば。
もちろん、過去の実績ではなく現在のパフォーマンスで判断されるべきプロサッカー選手である。昨年負っていた負傷の影響もあって、今野はシーズン序盤から本来のパフォーマンスに程遠く、オ・ジェソクも米倉も全盛時の輝きを見せきれてはいなかった。
ただ、数少ない公開練習の際に行われる紅白戦で、サブ組に回るベテランたちの起用法を見れば明らかに序列の低さが伝わってくる上に、宮本監督は密なフォローを必要と考えない指導スタイル。酸いも甘いも噛み分けてきた彼らに対して、もう少しの手厚さがあれば、と思わざるを得ないのだ。百戦錬磨のベテランとて、所詮は人間なのだから。
誤解を避けるためにあえて付け加えると、造反や内紛には縁がないのがガンバ大阪の良さである。チームを離れた選手からの監督批判を、少なくとも筆者は聞いていない。
なおガンバ大阪では出番を失っていたSBのオ・ジェソクが、当時首位を走っていたFC東京では8月以降、先発で持ち前の堅守を披露。守備戦術の整ったチームでは依然、戦力になりうることを証明した。
一方、ガンバ大阪は5月のダービー以降ベースとしてきたはずの3バックから一転し、9月に入ると4バックの再導入を目指す。だが、9月28日のセレッソ大阪戦ではその4バックが崩壊し、1対3で惨敗した。現状のメンバーでは唯一右SBを本職とする高尾だが、SBでの独り立ちには目処が立たず、皮肉にもSBの人員不足が露呈するチグハグな状況に陥っている。
宇佐美に続きアデミウソンも負傷。
ルヴァンカップの準決勝で負傷した宇佐美に続いて、好調だったアデミウソンも股関節の痛みで10月19日に行われる川崎フロンターレ戦は欠場が濃厚。佳境を迎えた残留争いは、文字通りの総力戦になるはずだ。
「我々もルヴァンカップに負けた後の試合で、残留争いに向けても大事になる。皆で気持ちを1つにしてやれるかどうか」(宮本監督)
残留争いを勝ち抜くことが今季残された最後のミッションとなるが、同時にクラブには来季も契約を残すレジェンド指揮官の功罪をシビアに評価する作業が待っている。