酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
育成ドラフトから一軍出場は約26%。
千賀滉大、甲斐拓也ら全選手リスト。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byHideki Sugiyama
posted2019/10/17 07:00
2018年日本シリーズMVPの甲斐拓也。育成ドラフト6位から球界の顔に上り詰めた選手だ。
阪神にとって初の成功例、島本。
<阪神 育成ドラフト指名12人 うち一軍出場選手3人>
2008年
野原祐也(外野手)BCL富山
2009年
田上健一(外野手)創価大
2010年
島本浩也(投手)福知山成美高
昨年まで育成枠で活躍した選手はいなかったが、今季、左腕島本が63試合登板で11ホールド、防御率1.67と大活躍。初めての成功例になった。
<広島 育成ドラフト指名20人 うち一軍出場選手2人>
2005年
中谷翼(内野手)四国IL愛媛
2010年
池ノ内亮介(投手)中京学院大
育成ドラフトを活用しているとは言えないだろう。なお2011年育成4位で市和歌山高から入団した三家和真 (外野手) は、広島を自由契約になったのちにBCリーグを経てロッテに入団し、一軍出場している。
約4人に1人が一軍の試合に出場。
<中日 育成ドラフト指名21人 うち一軍出場選手5人>
2009年
矢地健人(投手)高岡法科大
赤田龍一郎(捕手)愛知大
2014年
近藤弘基(外野手)名城大
2015年
三ツ間卓也(投手)BCL武蔵
2016年
木下雄介(投手)四国IL徳島
近藤弘基は、レジェンド近藤真市の子。2016年に支配下登録され一軍で3本塁打したが今オフに戦力外となった。三ツ間卓也は中継ぎ投手として活躍。
<ヤクルト 育成ドラフト指名15人 うち一軍出場選手6人>
2006年
伊藤秀範(投手)四国IL香川
2008年
ラファエル・フェルナンデス(投手)白鴎大
2011年
徳山武陽(投手)立命館大
金伏ウーゴ(投手)白鴎大
2014年
中島彰吾(投手)福岡大
2016年
大村孟(捕手)BCL石川
比較的多くの選手が支配下登録を果たしているが、活躍した選手はそれほどいない。なお白鴎大出身のフェルナンデスと金伏は、ブラジルのヤクルトアカデミーの出身者だ。
育成ドラフトでは昨年まで288人が指名され、78人が一軍の試合に出た。率にすると26.9%、4人に1人強だ。これを高いとみるか低いとみるか。
独立リーグの指導者や経営者からは「育成指名ではほとんどチャンスがないから、うちは正規の指名を目指す」という話をよく聞く。確かにそういう面はあるが、この結果でも分かるように、チームによっては「埋もれた才能」をじっくり見出す、優れた「目」を持った指導者もいるのだ。
今季のドラフト、育成ドラフトの行方にも注目したい。