炎の一筆入魂BACK NUMBER
「自分にむかつく」負けず嫌いの塊。
カープ期待の20歳右腕、遠藤淳志。
posted2019/10/16 11:40
text by
前原淳Jun Maehara
photograph by
Kyodo News
日南市・天福球場のブルペンに吹き込んでくる風も涼しく感じられるようになった10月。「みやざきフェニックス・リーグ」に参加している遠藤淳志は、ブルペンで投球練習を行っていた。
3回完全投球の翌日、フォームやバランス、力感を確認しながら1球1球丁寧に投げ込んでいた。優しく声をかける小林幹英二軍投手コーチとブルペン捕手の笑顔とは対照的に、マウンドの20歳はクスリともしない。表情には微笑みではなく、怒りがにじんでいるように映った。
「自分にむかつく」
約80球投げ込んだ右腕は額の汗を拭おうともせず、首を振った。
先発への強いこだわりがある。
言われている内容は理解できている。納得もしている。どう動かさなければいけないのかも、分かっている。もちろん、うまくいくこともある。ただ、うまくいかないことの方が多い。頭と体が一致しない現状に、腹が立ってしょうがなかった。
高卒2年目の今年、6月に一軍に初昇格した。8月21日ヤクルト戦でプロ初勝利を手にし、3日後の24日中日戦では初セーブを挙げて球団最年少セーブ記録を更新した。
登板34試合はチーム6番目の数字。今村猛や一岡竜司といった実績組をも上回った。高卒2年目として、十分に評価できる数字を残しながらも、本人に満足感はない。
登板はすべて中継ぎ。先発への強いこだわりがある。「来年は先発で投げたい」と力強い。不満を感じているところが、遠藤らしい。そして、その感情を前に進むエネルギーとしている。
「みやざきフェニックス・リーグ」では広島は投手を先発と中継ぎの分業にするのではなく、参加投手に短い回を多く投げさせる3グループ制を取り入れている。先発希望の遠藤も登板は中2日か中3日で最長3回を予定。そこで球威回復と、安定して多くの球数を投げられる体力強化を目指している。