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オールブラックスも注目の快進撃。
ジャパンを英国紙はどう伝えた? 

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井川洋一

井川洋一Yoichi Igawa

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photograph byNaoya Sanuki

posted2019/10/11 11:30

オールブラックスも注目の快進撃。ジャパンを英国紙はどう伝えた?<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

ここまでの3連勝は決してフロックではない。ラグビー列強国、そして海外メディアも日本に向ける視線が確実に変わってきている。

16人が「外国で英雄になった」。

 日本は今大会で最も国際色豊かなチームだ。31人のスクアッドの半数以上の16人が国外出身者である。「この競技の寛大な3年間在住ルールの恩恵を受けた」彼らは、「ティア1の代表チームには入れなかったはずだが、外国で英雄になった」とポール・ヘイワード記者は綴る。

 そのうちのひとり、ラファエレ ティモシーは「W杯でサモアを相手に初めてトライを決めたサモア出身者」となった。現在28歳のセンターは少年時代にサモアからニュージーランドに移り、後に山梨学院大学に入学。2017年に日本に帰化している。

「日本を代表することは、僕と僕の家族にとって、大きな意味を持つ。日本は僕にとても多くのチャンスを与えてくれた。それは他の(国外出身)選手も同じだ。国外で生まれ、若くして渡日した僕らにとって、たくさんの機会をもたらしてくれた日本に恩返しするチャンスなんだよ」

「僕らはしっかり団結しているよ」

 そう話すラファエレの気持ちは、他の国外出身選手にも共通するはずだ。「このジャパンに様々な国の出身者がいることは、まったく問題ではない。僕らはしっかり団結しているよ」と南アフリカ出身のヴィンピー・ファンデルヴァルトも話しているように。

 同紙のチーフ・スポーツライターを務めるヘイワード記者は、この記事を次のように書き始めた。

「ジャパンが泊まっている東京のホテルは、(ジェームズ・)ボンド映画の『You Only Live Twice(邦題:007は二度死ぬ)』で使用されたが、ブレイブ・ブロッサムズは二度(Twice)のために、そこに滞在しているわけではない。日曜日(13日)にスコットランドに勝てば、準々決勝行きが決まるだけでなく、2015年の南アフリカ戦と今回のアイルランド戦に次ぐ、3度目の(予想を覆す)勝利を祝うことになる」

 オールブラックスの主力選手や英国主要紙のベテラン記者だけでなく、世界中が日曜日の日本対スコットランド戦に注目している。悪天候で中止にならなければいいのだが。
 

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