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西澤健太は新人記録を塗り替える?
新エースを突き動かすエスパルス愛。
text by
望月文夫Fumio Mochizuki
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/10/11 11:00
第28節終了時点で7得点。あと1ゴールで藤本淳吾(京都)がマークしたルーキーイヤーのクラブ最多得点記録に並ぶ。
「アシスト数にはこだわりたい」
「自分が決勝ゴールを取っているというより、みんながつないでくれたボールがたまたま最後に自分のところに来た結果。すべて、チームで勝ち取ったと思っている」
周囲の盛り上がりについて話す様子はあくまで控えめ。そして、今季の目標についても西澤ならではの思いがある。
安定した出場機会を得てから設定したのは「5得点5アシスト」。すでに7得点3アシストとゴール数は目標に到達しているが、「5得点の目標を達成したのだからもっと高い設定にという声もあるけど、修正はしない。いまは5アシストにこだわりたいので、そこを目指したい」と語る。セットプレーのキッカーを任されていることもその理由のひとつである。
「自分は(左)サイドのMFなので、役割としてクロスなどから得点チャンスを多くつくることが理想だと思う。だからアシスト数にはこだわりたい」
そんな西澤の成長をクラブ側も期待を込めて見守っている。内藤直樹強化部長の西澤評はこうである。
「とにかく明るくポジティブ。自分の調子の良し悪しに関わらず、常に明るい雰囲気作りを心掛けてくれている。プレー面では、キックのうまさが際立つ。加えて、より相手が嫌がるスペースに入っていくことが、しっかりと整理されている。それが得点できる要因だろう」
北川に代わる新エースとして。
北川が抜けたチームにおいて、新エースとしての役回りまで求めている。
「ユースから昇格できずに大学に行き、その4年間を苦労しながら勝ち上がってきた。明るい人間性を含め、そういう選手だからこそ将来的にクラブの中心となって引っ張ってもらいたい」
とはいえ、まだプロ1年目だ。決して完成された選手ではない。それでも篠田監督の期待値も高い。
指揮官は「これまでも失点の場面でボールウォッチャーになるなど、まだ課題はある」と前置きしつつ、「90分を通して攻撃も守備もできている。推進力があり、リスタートでも良いボールを蹴る。明るいし、前向きに取り組む姿勢があるから成長できていると思う」と評価した。