JリーグPRESSBACK NUMBER
内田篤人が川崎に敗れて話したこと。
「俺はまだ31歳だから。31だよ」
posted2019/10/10 17:00
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
Getty Images
川崎フロンターレの2点目が決まった時、内田篤人はベンチからテクニカルエリアに飛び出し、タッチラインギリギリの場所で声を張り上げていた。
慌ててスタッフがビブスを用意し、主審からも注意を受けた。しかし、内田の想いとは裏腹に鹿島アントラーズは85分に3失点目を喫し、ルヴァンカップ準決勝ファーストレグは、3-1でホーム川崎の勝利で終わった。
「うちが先制点を決めて、俺らにはチャンスもあった。流れは悪くはなかったし、1-1で終われば全然OKだと思っていた」
先発出場し、81分までプレーした内田はそう試合を振り返る。
今季は開幕からスタメン出場していたが、3月30日の磐田戦で負傷して昨年同様に長期離脱を余儀なくされた。戦線に復帰したのは8月中旬、リーグ戦出場は9月1日の清水戦からだった。
「ここからシーズン後半にかけては、大事な試合が増えるから」とピッチに立てる身体に戻ってきたことを楽しそうに話していた内田だったが、起用にはなかなか至らなかった。
リーグ戦、ルヴァンカップ、ACLと過密日程が続いた9月も、ベンチ入りとベンチ外を繰り返す日々。ベンチサイド、ときにはタッチラインそばに立ち、ピッチ内の選手へ声をかけ続ける姿が印象に強く残っている。
内田不在でも勝ち点を積み上げた鹿島。
右サイドを務めるのは、この夏に柏から移籍加入した小泉慶。ボランチの永木亮太がそこに立つこともある。若い伊東幸敏も含めた激しいレギュラー争いが繰り広げられる。そんな自身の現状も「ポジションを奪いにいく」と内田は前向きに受け入れていた。
9月は開幕直後から続出した怪我人が戻り、鹿島は安定感を増しながら勝ち点を積み上げてきた。
しかし今度はボランチの三竿健斗が離脱。小泉がボランチに回ったことで、9月28日の札幌戦で内田は約半年ぶりに先発出場を飾った。
試合は1-1と負けなかったが、内田のパフォーマンスが万全だったとは言い難く、周囲との連係や試合勘の不足が垣間見られた。