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競歩・鈴木雄介が苦しんだ末に……金。
「くねくねしているとか笑われても」

posted2019/10/06 11:40

 
競歩・鈴木雄介が苦しんだ末に……金。「くねくねしているとか笑われても」<Number Web> photograph by Getty Images

現地時間28日の午後11時半開始のスケジュールをものともせず、競技史上初の金メダルに輝いた鈴木雄介。

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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 ドーハで行なわれている陸上の世界選手権。

 これまでの大会の開催地と比べ、今大会の気温と湿度の高さに、開催地としての環境に疑問を呈する声が、国内外の選手から多数、上がっている。

 その中にあって、健闘する日本人選手の姿も印象に残る。

 競歩50kmで金メダルを獲得した鈴木雄介だ。

 競歩の申し子である。同時に、紆余曲折を味わった末の、栄冠だった。まずはその足跡をたどりたい。

 鈴木は、中学生のときに競歩を始めた。その後、常に注目されるにふさわしい成績を残し、期待を集める存在になっていった。例えば、中学時代には3000mと5000mで中学最高記録をマーク。高校時代にはジュニアの年代の国際大会に出場するようになった。順天堂大学時代の2006年には、世界ジュニア選手権10000mで銅メダルを獲得している。

 その後も着実に階段を上がり、日本の主軸たる活躍を見せてきた。

金メダルを狙ったロンドン五輪。

 だが、大舞台では苦い思いを味わうことが多かった。

「金メダルを狙います」と宣言して臨んだ2012年のロンドン五輪では、スタートから2km過ぎに先頭に出たが、8kmを過ぎて後続の集団に吸収された。腹筋のけいれんのアクシデントもあり、36位に終わった。

 それをばねにした鈴木は、2015年、国内の大会の20kmで世界記録を更新する驚異のタイムを出して優勝する。

 しかし、その後には試練が待っていた。

 同年の世界選手権は、大会を控えて起きていた恥骨炎、さらにレース中には胃炎が起こり、棄権に終わった。

【次ページ】 故障に苦しみ、復帰は昨年5月。

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