話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
ヴィッセル唯一の27試合フル出場。
山口蛍が献身の陰に持つ「野望」。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byGetty Images
posted2019/10/02 11:40
ヴィッセルのバランサーとして機能する山口蛍。加入した酒井高徳も、彼にとっては心強い同僚になりそうだ。
チームの狙いと、個人の狙いと。
「今はなるべく高い位置にいてほしいと監督に言われているので、下がってきてボールを受けることができないんです。もともとボランチの選手なのでボールを触って、散らしていうテンポの中でやってきたんですが、監督がそうやってほしいということなのでそれをやらないといけない。
ただ、個人的には狙いとか考えていることがあるので、そこは葛藤しながらやっていますね」
ボランチとして高く評価され、日本代表でもプレーしてきた。ボランチとして攻守両面で力を発揮したいと思うのは、選手の欲求としては当然だ。
だが今は監督の要求があり、「楽しいというより、いま勝っているんで」とチームのために犠牲心を持ってプレーすることに徹している。このシステムを継続して、さらに選手間で動きが馴染んでくればもっとやれることが増えてくるだろう。
代表でも山口の「怖さ」は必要。
そうして自分の良さを1つでも多く発揮できれば日本代表も見えてくる。
今年3月、8カ月ぶりに日本代表に招集されてコロンビア戦ではスタメン出場した。だが、その後は6月の2試合、9月のカタールW杯2次予選ミャンマー戦も招集されていない。
現在のボランチは柴崎岳がファーストチョイスで、相棒として板倉滉、遠藤航、橋本拳人ら若い選手が残りの1席を競っている。
だが個人的には、柴崎以上の守備能力に加え、裏に抜けるセンス、シュート力がある山口の恐さも捨てがたいと感じる。
日本代表でポジションを取り返す気持ちはあるのだろうか。
「代表は……ないですね。ないというか、ボランチで(試合に)出ていないから。代表で1つの前のポジションはないと思うし、呼ばれるとしたらボランチだと思うんで。
インサイドハーフをやっている段階で呼ばれてもギャップじゃないけど、それはちょっと失礼というのもあるんで、今はチームに集中してやっていこうかなと思います」