話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
ヴィッセル唯一の27試合フル出場。
山口蛍が献身の陰に持つ「野望」。
posted2019/10/02 11:40
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
Getty Images
ヴィッセル神戸が徐々に調子を上げつつある。
川崎フロンターレを破って、9位に浮上。リーグ戦では8月から9月まで負けたのはホームでの札幌戦だけだ。
山口蛍は好調の理由をこう語る。
「うしろ3枚のフォーメーションがハマっているのがあるし、神戸のサッカーに対して移籍してきた高徳、大樹らがハマっているのが大きい」
8月10日の大分戦から3バックを採用したが、公式戦6勝1敗1分と好調だ。トーマス・フェルマーレン、ダンクレー、大崎玲央の3バックに夏に加入した酒井高徳(左ウィングバック)、GK飯倉大樹が加わり、3-3-2-2のシステムが機能している。
攻撃もだが、守備の迫力が凄い。
攻撃は最終ラインの3人にプラス、セルジ・サンペール、さらにGK飯倉がビルドアップに加わり、余裕を持ってボールを回せるようになった。川崎はビルドアップする選手に対してプレスを掛けていたが、神戸は常に2対1の状況を作り、川崎の網の目をかわしていた。
また、前から奪いに行くだけではなく、この日の川崎戦もある程度引いて待ちかまえ、奪うと素早く前に展開して、古橋亨梧からビジャへ鮮やかなカウンター攻撃を見せてゴールを奪った。
見事なゴールだったが、凄みを感じたのはむしろボールを奪う際の迫力だ。ガツガツと激しく当たり、ボールを絡め取る強さは少なくとも夏前にはなかったものだった。
守備は、3バックにしてから役割が明確になり、高い能力を活かして守っている。さらにサンペールのコンディションが上がり、前後左右に動けるようになってアンカーに配されたのも大きい。
川崎戦では後半アディショナルタイムにセンターバックのふたりが競りに行くというミスを犯し、こぼれ球を長谷川竜也に持っていかれて失点したが、天皇杯につづき2試合連続で川崎を破った力は本物だ。