ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
古巣の胴上げを目の前で見て落涙。
DeNA・中井大介に胸中を聞いた。
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byNaoya Sanuki
posted2019/09/29 11:45
巨人を戦力外になり、今季からDeNAでプレー。内外野を守り、ユーティリティとして貢献した。
“求められる存在”として輝く。
青山道雄ヘッドコーチもそれを認めている。
「ユーティリティープレーヤーとして守備はもちろん、打順もいろんなところで打ってくれました。チームの穴を埋めてくれる仕事をよくしてくれたといった印象です。とくに対左投手における中井の存在は評価できますし、ベンチに彼のような選手がひとりいるだけで、我われとしては本当に助かるんです。チームメイトともうまくやっているようですし、うちのチームの一員としてなくてはならない選手ですね」
シーズン中の登録抹消は1回。ただ10日間で戻ってきているので、ほとんど一軍に同行していたといっていい。一度はプロ野球選手の道を断たれた中井ではあるが、今では“求められる存在”として輝きを取り戻した。
「もっと打ちたかった」
中井本人はがらりと環境が変わったこの1年を次のように振り返った。
「ジャイアンツをクビになった1年前の状況を考えれば、このチームに加入させてもらって本当に良かったなって思っています。チャンスを与えてもらったし、チームにもずっと同行できた。複数のポジションや右打者として自分の役割をこなしていくなか、正直どこまで助けになれたかわからないんですが、戦力としてベンチに残しておこうと見てもらえたのは、選手として本当に幸せなことですよね」
噛みしめるように中井は語る。しかし現状に甘えることはない。
「けど数字を見れば満足できるものではないし、もっとやりたかったし、もっと打ちたかった。これだけ試合に出させてもらって打点(6点)という部分ではちょっと寂しいですよね。そこは今後の課題になりますね」
一方で、印象的だったのが中井の打席においての振る舞いだ。シーズンを通して構えは安定し、好不調の波はあまり感じられなかった。守備もしかり、若い選手が多いチームにあって中井の安定感は爆発力こそないが、チームに落ち着きを与えていたように思える。