松岡「伊藤忠丸紅鉄鋼さん、すばらしい！」

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松岡「悠さんも、すごいなあ……別の意味で（笑）。
　さすがにそろそろ、柔道の話に戻ったほうがいいですね。愛媛での就職のお話に戻ります。愛媛での面接の時に、悠さんが、『うちの妻にもチャンスを与えてほしいんだ』と、伝えてくれた。それで？」

悠「その時、僕はリオパラリンピックに出場できるかどうか危ないところだったんですけど、彼女はほぼ出場が決まっていて、しかもメダルを獲れる可能性があった。だから『奥さんだけでも雇ってください』と」

松岡「でも、順子さんは愛媛に来るときにもう柔道は諦めたんじゃないんですか」

順子「諦めた、というよりは、こだわっていなかった。続けられる環境があるかどうかわからなかったから、出られなくても仕方がないかなって。高校まではずっと自分のやりたいことを我慢してまでも柔道をやってきたので、それよりもこれからは、私生活を大事にしたいと思ってました」

松岡「悠さんが会社に自分を売り込んでくれた。それを聞いてどう思いました？」

順子「もちろん、ありがたかったです。もし入れてもらえるのであれば、もう一度柔道を頑張りたいと」

松岡「それで会社はどっちを取ったんですか」

悠「両方です。2人同時に入社しました」

松岡「伊藤忠丸紅鉄鋼さん、すばらしい！　その決断はどうしてだったんでしょう」

悠「そこはやっぱり、このトーク力で（笑）」

悠「柔道の話、全然してないですよね（笑）」

松岡「いやあ、その自信が羨ましい。人に気に入ってもらえるコツってなんですか」

悠「まずは印象を残さないといけないので、普通の話をしないことです。今日だって、ここまで柔道の話、全然してないですよね（笑）。でも、印象に残っているじゃないですか。あいつと話したときに楽しかったなぁという印象を残せるとなお良いです。だから障害でこんなに苦しみましたという話はしないんです」

松岡「そういうところはポジティブなんですね。柔道もそういうスタンスにはなれませんか」

悠「まあでも、わりとポジティブですけどね」

松岡「いやでも、自分のためには頑張りたくないって」

順子「そこはあまり正直じゃないんです。よくそういうことを私にも言うんですけど、練習を見ていると誰よりも熱心にしているし。おそらく、素直に『練習してます』って恥ずかしくて言えないんだと思います」

松岡「ほほう。じつは恥ずかしがりですか」

悠「いやいや、僕は本当に自分の実力がわかっているので。実力がわかっていても努力しないと強くなれない。だからやれと言われたらやりますけど」

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