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金子達仁が見たラグビーW杯開幕戦。
4年前とは自信の厚みが違った。
text by
金子達仁Tatsuhito Kaneko
photograph byNaoya Sanuki
posted2019/09/21 12:40
大きな期待を背負って迎えた開幕戦。しっかりと勝ち切る日本代表に逞しさを感じた。
増していた自信の厚み。
だから、驚いた。
絶対に落とせない、勝たなければいけない、できることならば4トライ以上を奪ってボーナスポイントの上乗せを狙いたい初戦で、いきなり先制点を奪われた。それも、明らかな自分たちのミスから奪われた。
普通だったら、狼狽する。えらいこっちゃと、パニックの衝動が突き上げてくる。
なのに、彼らはうろたえなかった。固くなっていることははっきりとわかったが、それでも、自分たちを見失ってはいなかった。
上がってしまったハードルも、悪いことばかりではなかったのだ。
なぜ最高の結果が求められる試合で最悪のスタートを切ってしまったのに、日本代表は壊れなかったのか。
自信の厚みが違ったから、ではなかったか。
4年前に南アフリカを倒し、決勝トーナメント進出は逃したものの、3勝をあげた自信が、「こんなところで崩れるわけにはいかないし、崩れるはずもない」と選手たちを支えたのではなかったか。
はじめちょろちょろ、なかぱっぱ。
ともあれ、これでまず1勝。
ミッションのフィニッシュラインはまだはるか彼方ながら、それでも、昨日よりは一歩、目指す場所へと近づいた。28日に静岡で戦うアイルランドは超難敵だが、日本にとっての重圧は、もはや初めての経験ではなくなっている。
背負うものは、きっと、ロシア戦より軽い。
ちなみに、ブルーインパルスでガッカリさせてくれた大会組織委員会は、その後、息をのむほど見事なプロジェクション・マッピングを駆使したセレモニーを披露し、世界中から集まったメディアの度肝を抜いていた。
はじめちょろちょろ、なかぱっぱ。
どうやら、今大会はそんな展開になりそうな予感の走る、開会式とロシア戦だった。今夜は横浜で南アフリカ対ニュージーランドか。シビれるなあ。