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新しい地図・香取慎吾×パラバドミントン。
「こんなに速く動ける世界がある」
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byTakuya Sugiyama
posted2019/09/30 08:00
豊田まみ子(左)と小倉理恵が打ち込むパラバドミントンの世界に、香取慎吾は驚きの連続だった。
車いすのスピードを強みにして。
香取 先ほどライバルの話もありました。他のプレーヤーと比較して、自分の強みはどこですか?
小倉 車いすのスピードですかね。特に私は20歳のころまでクラッチ(杖)を使って歩いていたからか、もともと肩まわりの筋肉が人より発達していて、その筋力をうまく使えているみたいです。車いすは1回漕げば進んでいきますけど、クラッチは一歩ごとなので、身体への負荷が大きいんです。車いすに初めて乗ったときは、「こんなに速く動ける世界があるんだ!」と驚きました。ただ、そのスピードをまだ試合で活かしきれていないので、もっとプレーに繋げられるようにしたいです。
豊田 小倉さん、めっちゃ速いですよ(笑)。私は2016年からずっと怪我が多かったので、プレーできなかった悔しさや、それを乗り越えた経験が強みになっているのかな。怪我をする前は、すぐに落ち込んでいたけど、今は切り替えが早くなりました。
デビュー日が同じなんですよ!
香取 2人とも、小さい頃からバドミントンをやっていたんですか。
小倉 私は子どもを2人産んでから競技を始めたので、遅い方です。夫がバドミントンをやっていたのがきっかけでした。それまでは学校の体育くらいしか運動したことがなくて。やっぱり、最初の日本選手権は全く勝てなかったです。その時、負けたのにヘラヘラしているように見えたみたいで、あとから夫にすごく怒られました。
確かに、練習中は夫に子どもの面倒をみてもらっていましたし、試合の応援にも家族全員で駆けつけてくれたのに、私が中途半端な気持ちで臨んでいるように見えたんだと思います。それが本格的に取り組むきっかけになって、「結果で返さなきゃ」と意識がすごく変わりました。
香取 厳しい旦那さんですね(笑)。でもそこから日本代表候補にまでなっているのは本当にすごい!
豊田 私は小学校の4年生で健常者のジュニアチームに入って、バドミントンを始めました。初めてパラの大会に参加したのは高校生の時で、積極的に出るようになったのは大学に入ってからです。
小倉 私とまみちゃんはパラバドミントンのデビュー日が一緒なんですよ!
豊田 そう! 仙台でやった日本選手権ですよね。その時、私はまだ健常者の大会メインでやっていました。強豪校で、練習メニューも健常の選手と同じ。なかなかレギュラーにはなれなかったんです。でも普段のトレーニングだけは負けたくなかった。一回だけ、長距離走のトレーニングで一番になりました。