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失い始めたガンバ常勝の記憶。
ルヴァン杯でイズム継承なるか。 

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下薗昌記

下薗昌記Masaki Shimozono

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photograph byJ.LEAGUE

posted2019/09/18 11:30

失い始めたガンバ常勝の記憶。ルヴァン杯でイズム継承なるか。<Number Web> photograph by J.LEAGUE

この夏、チームに復帰した宇佐美貴史(右)とパトリック。三冠を知る男たちの奮起に期待したい。

相手はミシャ率いる札幌。

 準決勝で対戦するのはクラブ史上初の快挙を成し遂げたコンサドーレ札幌だ。チームとしての経験値では絶対的にガンバ大阪が上回るものの、北の大地のクラブを躍進させてきた指揮官は、浦和レッズを率いていた2016年のルヴァンカップ決勝でガンバ大阪を下した成功体験を持っている。

 かつてはリーグ戦で「お得意様」にしてきたはずのコンサドーレ札幌だったが、ペトロヴィッチ監督の就任後は1敗2分けという戦績だ。

 ルヴァンカップの準決勝の直前にはリーグ戦でも対戦が決まっており、10日間で3連戦という厳しい日程も待つ両チーム。試合中の采配では後手を踏みがちな宮本監督にとっても、その手腕が問われるルヴァンカップだが、持ち駒に関してはペトロヴィッチ監督よりも恵まれているのは間違いない。

賢人と三冠戦士がいるうちに。

 サンフレッチェ広島と対戦した5年前のルヴァンカップ決勝で、当時「シルバーコレクター」と呼ばれていた長谷川監督を優勝監督に押し上げたのは遠藤の冷静さと「僕は絶対に諦めない男」と自称したパトリックの追撃弾。パトリックは言う。

「ルヴァンカップのタイトルが今シーズンのガンバにとっては大きな意味を持つ。簡単じゃないけど、決して不可能じゃない。1つ1つ戦っていくだけさ」

 決勝までの道のりはまだまだ険しいが、クラブの全タイトルに貢献してきた39歳の「賢人」と三冠戦士が健在のうちに優勝の記憶をチームに受け継ぎたい。鹿島アントラーズが、代々そうしてきたように。

 世代交代が進み始めているガンバ大阪だが、真に目指すのは常勝軍団としての復権である。勝者のメンタリティを取り戻すのか、それとも4年連続の無冠に終わるのか――。

 大阪の雄にとって、今シーズンのルヴァンカップは1つのタイトル以上の意味を持っている。

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