スポーツ・インテリジェンス原論BACK NUMBER
ラグビーW杯で期待する“番狂わせ”。
「4年前の日本」を再現するのは?
posted2019/09/19 17:00
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Getty Images
アップセット。
日本語でいえば、番狂わせ。
ラグビーワールドカップ(W杯)のプールステージのなにが面白いかといえば、アップセットを目撃することに尽きる。
4年前の9月19日、英国・ブライトンの地で日本が南アフリカを破った試合は、W杯史上最大の番狂わせだった。だからこそ、世界のラグビーファンを熱狂させ、後世に語り継がれる試合となったのだ。
今回のW杯、アップセットの香りが漂っている。アジアで初めて行われる大会、なにが起きても不思議はない。
魅了する「フィジアン・マジック」。
特に、台風の目になりそうなのが、プールDに属するフィジーだ。
このプールは、今年に入って世界ランキング1位にもなったウェールズ、8月にオールブラックスを破ったオーストラリアが鉄板の2強とみられている。
しかし、フィジーには彼らにしかない強みがある。
それは観る者を魅了する「フィジアン・マジック」と呼ばれる華麗にして奔放なオープン攻撃だ。
フィジーは2016年のリオデジャネイロ・オリンピックの7人制ラグビーで金メダルを獲得したように(同国にとってオリンピックで初めての金メダルとなった)、スペースが広い時の展開力は世界ナンバーワンといっていいだろう。
しかし、悲しいことにこれまでW杯になってもベストメンバーを組むことができなかった。主力選手がフランスを中心としたヨーロッパのクラブに所属しているため、経済的にはフィジー代表よりもクラブに残ってプレーしていた方がいいからだ。
ラグビー界に横たわる「南北格差」がここにある。