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ラグビーW杯で期待する“番狂わせ”。
「4年前の日本」を再現するのは?
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byGetty Images
posted2019/09/19 17:00
アップセットを狙うフィジー代表。「フィジアン・マジック」はウェールズ、オーストラリアの2強の壁を打ち破れるか。
史上最強のフィジーが挑むのは……。
ところが2014年にヘッドコーチに就任したジョン・マッキー氏はヨーロッパのクラブに出向いてクラブ側と根気強く交渉し、W杯期間中に選手を供出してもらうことに成功したのである。
フィジーはこれまでW杯では2度のベスト8進出があるが、今回のチームはフィジー史上最強ではないかと言われている。
実際、7月にはマオリ・オールブラックスを倒して選手たちは自信を深めた。7月27日には釜石鵜住居復興スタジアムで日本に敗れたものの、事前に日本の環境を把握したことはプラスに働くだろう。
彼らのプールステージでの戦いはどれも興味深いものばかりだ。
9月21日にはオーストラリアと対戦(札幌)、中3日でウルグアイと釜石で戦うのはマッキー・ヘッドコーチの腕の見せどころだが、10月3日、東大阪・花園ラグビー場で行われるジョージア戦は「異種格闘技戦」の趣が漂う試合になりそうだ。
フィジアン・マジックに対して、ジョージアは強力なFWが武器。ジョージア出身といえば、大相撲の栃ノ心が思い浮かぶが、まさに栃ノ心のような選手たちがFWに居並ぶ。
フィジーはボールを展開したい。
ジョージアはゴリゴリに近場を攻めたい。
どちらがよりトライを取るのか、そしてトライの取り方にも注目して欲しい。
大一番は堅守のウェールズ戦か。
そしてもし、この時点でフィジーが2勝1敗でウェールズとの試合を迎えたとしたら、準々決勝進出を懸けた大一番になるかもしれない。
アップセットを起こすなら、ここしかない。
実際、2007年のフランス大会では、フィジーが38−34でウェールズを下している。
今回は、堅守を誇るウェールズと、予期できないアタックを見せるフィジーがどんな試合を展開するか、楽しみでならない。
フィジーの起こすアップセットによって、プールDが面白くなる可能性は大いにある。