ラグビーPRESSBACK NUMBER
「昔から見えてた」なぜ堀江翔太はいつも冷静なのか? 観察眼とチューニング力…原点は高校時代「キック処理やってた。エイトやのに(笑)」
posted2024/04/05 11:01
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Kiichi Matsumoto
2023年12月6日、堀江翔太(38歳)はリーグワンの新シーズン開幕を前に現役引退を表明した。ラグビーW杯4度の出場、日本代表キャップ「76」を誇るフッカーはラストゲームをどう迎えるのか。複数回にわたってお届けする短期連載の第2回は、堀江の原点に迫ります。
勝敗を左右しそうな場面でのジャッカル。
笛が吹かれてラックに参加していた選手たちが散っていくと、最後に顔を上げるのが堀江翔太だったりする。
やっぱり、堀江か……と感じてしまう。
今年1月に38歳を迎えた堀江だが、衰えを見せるどころか、円熟味を増している。堀江自身は、自分の調子をどう捉えているのだろうか?
「僕ね、絶好調という状態が分からないんですよ。それは分からないんですけど、ぼちぼちやってます。ぼちぼちやれてるということは、ぼちぼち行けてるんかな、と思います」
堀江に対しては失礼ながら、「ぼちぼち感がにじみ出てますよね」と話すと、笑いながら、「ぼちぼち感が光ってると思います」という。
9回を締めくくる「絶対的クローザー」
堀江は間違いなく、埼玉パナソニックワイルドナイツの強さを支える一端となっている。後半、堀江が登場するとゲームの雰囲気が変わる。
なにか野球でいう、9回を締めくくる「絶対的クローザー」が登場したような感じになるのだ。
堀江のプレー自体の充実だけではなく、堀江が入ることでチーム全体の機能が滑らかになる感じがあるのだ。そう話すと、堀江は「ああ、たしかに見えるんですよね」という。
「38歳になって経験値もマックス近くになってて、なおかつリザーブから出ていったりすると、試合に関してはいろいろなことが見えますよね。前半から試合を観察して、ああだこうだ、リザーブのメンバーで話してるんで。チームとしてもうちょっとここを意識せなあかんとか、そうした部分が見えてしまうんですよ」
それは次の言葉からも分かる。