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ラグビー日本代表に頼れる38歳鉄人。
流暢な関西弁と、勝利への執着心。 

text by

多羅正崇

多羅正崇Masataka Tara

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photograph byNaoya Sanuki

posted2019/09/10 20:00

ラグビー日本代表に頼れる38歳鉄人。流暢な関西弁と、勝利への執着心。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

南アフリカ戦でもよく働いたトンプソン ルーク(右から2人目)。38歳ながら、豊富な運動量を誇る。

とにかく負けず嫌いな38歳。

 おじいちゃんは今年2月、初体験をした。怪我人続出のサンウルブズに加わり、開幕戦からスターターに。南半球の国際リーグ「スーパーラグビー」にデビューしたのだ。

 当初は3試合の契約だったがハイパフォーマンスを披露。シーズン8試合に出場し、チーム最多タックルも複数回記録。ゲーム主将まで務めた。

 多大な貢献をする38歳に日本代表のジェイミー・ジョセフHCは驚き、4大会目のW杯への道が拓けたのだった。

 なぜ38歳でも世界トップレベルでいられるのか。近鉄フォワードとして10年以上共にプレーした、近鉄ライナーズの佐藤幹夫アシスタントコーチが言った。

「鶏肉しか食べないとかそういうことはないと思います。アイスクリームも大好きですし。ただ、とにかく負けず嫌い。練習の中でやるミニゲームでさえ、勝ちにこだわります」

最年長出場記録を更新するか。

 9月6日の南アフリカ戦で、そんな勝利への執着心は垣間見えた。

 前半18分のキックチャージだ。

 7点を追いかける日本代表は敵陣に侵入したが、ラックでボールロスト。2万2258人が集った熊谷ラグビー場がため息に包まれた。失点を防いだ南アフリカ代表はプレーを落ち着かせると、司令塔ハンドレ・ポラードがエリア挽回のキックを狙った。

 ここでたった1人、猛然とキックチャージをかけたのがトンプソンだった。

 キックモーションに入ったポラードへ、両手を掲げたトンプソンが襲いかかる。放たれたキックがトンプソンの手に当たった――爆発的な歓声。勢いを失ったボールは、ふたたび日本代表の手に戻ってきた。

 スコアはできなかった。しかし得点チャンスを想起させたビッグプレーだった。

 9月20日に開幕するラグビーW杯日本大会。

 トンプソンがロシアとの開幕戦に出場すれば、自身が南アフリカ戦で記録したばかりの日本代表最年長出場記録(38歳143日)をさらに更新する。

 日本ラグビーの歴史を創りながら、鉄人はジャパン史上初のベスト8以上を目指す。
 

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