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世界強豪が日本に集うラグビーW杯。
「因縁」がぶつかり合う注目対決は?
posted2019/09/11 11:50
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Getty Images
ラグビー・ワールドカップ(RWC)の開幕が刻一刻と近づいている。
日本代表の仕上がりも気になるところだが、RWCは世界の強豪が一堂に会する4年に一度の機会。予選プールから列強同士の激突が見られ、目が離せない戦いが続きそうだが、今回は「因縁」を軸に注目のカードを紹介していこう。
まず、日本(世界ランキング10位/9月10日現在。以下同様)が属するプールAでは、9月22日に横浜で顔を合わせるアイルランド(1位)とスコットランド(7位)の対決に注目が集まる。
両国ともケルト民族でありながら、その特性は大きく違う。アイルランドのフォワード(FW)はたくましく、力強さが特徴。一方のスコットランドは欧州列強と比較すると体格的には見劣りするが、その分、知恵を絞る。
日本の行方も左右する一戦。
現在、イングランド(3位)のヘッドコーチを務めるエディー・ジョーンズは、両国の特徴を次のように話してくれたことがある。
「アイルランドは政治好きの国民なんです。JFKこと、ケネディ大統領の先祖はアイルランドからの移民で政治的な駆け引きに秀でていたので、アメリカで成功を収めました。彼らはラグビーの世界でも諜報戦も厭いませんよ(笑)。スコットランドは産業革命で蒸気機関を改良したワットを生み出した国でもあり、知恵と工夫に優れています。日本に似ているところもありますね」
両国の対戦は、これまで135戦してスコットランドの67勝、アイルランドの63勝、5つの引き分け。過去10戦だけを取ってみると、アイルランドの7勝3敗と同国の充実ぶりを物語っている。
この試合の結果が日本の予選プール突破にも影響するだけに、楽しみな一戦になりそうだ。