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大久保からの喝と麻也の期待を胸に。
橋本拳人はハイブリッドMFに変身中。 

text by

西川結城

西川結城Yuki Nishikawa

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2019/09/09 12:15

大久保からの喝と麻也の期待を胸に。橋本拳人はハイブリッドMFに変身中。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

パラグライ戦で国内組唯一の先発メンバーとなった橋本挙人。新ボランチ候補として名乗りを上げた。

忘れられない最悪のプレー。

 2018年のJ1第33節。すでに優勝を決めた川崎Fをホームに迎えた試合の終了間際に、橋本は大きなミスをした。

 自陣でDFからボールを受ける。自らは攻撃方向を背中にし、敵からプレッシャーをかけられている。2人、3人とさらに囲まれる中、右足アウトサイドで横パス。するとこれを相手にカットされてしまった。そのままゴールを決められる始末。シーズン終盤で、最悪のプレーをしてしまった。

「このミスを絶対に忘れてはいけない。自分の中で、どこかで取り返さないといけない」

 新たなプレーに挑戦している最中で起きた、ショッキングな出来事。そのまま、橋本の2018年は終わった。

掲げた「リーグ優勝と代表入り」。

 2019年1月。沖縄キャンプで会った橋本の表情はスッキリとしていた。掲げた目標は、2つ。

「FC東京のリーグ優勝。そして日本代表入り」

 至極シンプルに言い切った姿勢が、とても清々しかった。

「とにかく自分が育ってきたこのチームで勝ちたい。首位を走り、優勝するということは、そこで自分が貢献するということ。そうすれば、自ずと代表入りの道も開けてくる」

 こう話していたのも束の間、日本代表の扉は思いの外に早く開かれた。3月に初めて招集され、ボリビア戦で先発デビュー。安定感あるプレーを見せ、上々の出だしだった。

 リーグ戦では日を経るごとに著しく成長していくようだった。昨年、最終盤でミスをしたあのプレーを引きずることなく、今季はさらに堂々と縦パスを入れていく。

「ボールを奪うだけでは相手にとっては怖くない。常に頭にそう言い聞かせている」

 自分のミスにも打ち克った。相手のプレッシャーを前に、リスク回避するようなプレー選択をしていた彼など、もう今はいない。

【次ページ】 バランス、ボール奪取、積極性。

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