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大久保からの喝と麻也の期待を胸に。
橋本拳人はハイブリッドMFに変身中。 

text by

西川結城

西川結城Yuki Nishikawa

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2019/09/09 12:15

大久保からの喝と麻也の期待を胸に。橋本拳人はハイブリッドMFに変身中。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

パラグライ戦で国内組唯一の先発メンバーとなった橋本挙人。新ボランチ候補として名乗りを上げた。

バランス、ボール奪取、積極性。

 パラグアイ戦。そこには日本代表のピッチでもチーム全体の動きを俯瞰するかのように、ボランチとして適所にポジションを取る橋本がいた。柴崎が前に出ると、スッと後ろに下がり、チームの重心を取る。相手の縦パスには持ち前の球際の激しさで、ボールを奪いに行く。

 攻撃のビルドアップではDFからボールを引き出し、小気味よく周囲にパスを配る。チーム2点目につながるシーンでは、左サイド前に空いたスペースに自らドリブルで運び、敵をひきつけたところで中央寄りにいた元FC東京のチームメイト、中島翔哉に巧みにパス。敵陣を崩すきっかけになった、非常に“効くプレー”だった。

 初めて代表の主力勢に混ざってプレーした。周囲の評価は上々。ただ、試合後の本人は「手応えと課題、半々です」と表情を引き締めた。

「縦パスを入れるところや攻撃に関わるところなど、できたところは良かった。それは常に自分が意識してきたことなので、代表でもそれを出していかないといけないと思っている。ただ……」

 むしろ自ら痛感した課題の方に、意識を傾けたいように見えた。

吉田麻也が求める「残り15分」。

 気になるシーンがあった。試合終盤、チーム全体で動きの量も質も落ち、イージーミスからパラグアイに攻められる場面があった。最終ラインでは、主将の吉田麻也が中盤に向けて大きなアクションで声を上げている。橋本が引っかかっていたのは、そこだった。

 吉田に、橋本の印象について聞いた。すると、あの場面の背景を明かした。

「非常にボール奪取能力が高い。パスコースに顔を出して、相手に隠れることもない。さらに前にボールを付けられれば、もっといい選手になる。ただ、75分を過ぎてから強度が落ちたと僕は感じた。最後の時間帯に本人にも言ったし、彼も自分でわかっていた。

 たぶん、今のFC東京は勝つ試合が多いこともあってか、楽に試合の終盤を迎えることもあるのかもしれない。そこの強度は代表戦ではまた違ったものになる。現状は、それを練習やJリーグの中で、自分で意識して補っていかないといけない。でもそれは(板倉)滉にしても(久保)建英にしても足りない。残り15分のプレーの質の低さはいただけなかった」

 実際に吉田からその声をピッチで聞いた橋本は、こう感じていた。

「指示の質も常に高くて的確。内容も今まであまり聞いたことのないような指示だった。やっぱりJリーグの試合よりも、序盤からみんなプレー強度が高かった。スライドしたり、ボールに出ていく動きも激しいし、ボールを奪ってからの押し上げも速い。付いていくのに大変。それが終盤の疲労につながってしまった」

【次ページ】 橋本が目指すべきボランチ像。

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