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「派手なガッツポーズ」から1年。
侍U18で際立つ、西純矢の吸収力。 

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高木遊

高木遊Yu Takagi

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photograph byKyodo News

posted2019/09/03 07:00

「派手なガッツポーズ」から1年。侍U18で際立つ、西純矢の吸収力。<Number Web> photograph by Kyodo News

米国戦の2番手として3回を投げた西純矢。MLB予備軍から5つの三振を奪った。

大会中に適応、野茂直伝のフォークも。

 特に光るのが対応力だ。

 打撃では創志学園で4番を担い、南アフリカ戦で高校通算本塁打は25本となった。だが、チーム合流当初は木製バットへの対応に苦慮し「タイミングが取れずに大振りになっていた」と西自身も振り返る。しかし、韓国入りしてから仲井宗基コーチと島田達二分析担当コーチから「インパクト(球を捉える時)にヘソの前で押し込むように」とのアドバイスを受けて実践すると、ものの見事に結果を残した。

 投球では、先月26日の大学代表との壮行試合で甘く入ったカーブを本塁打にされたことや、アメリカ戦の登板前に永田裕治監督から「力まず8割の力で行けよ」と言われたことを受け「カーブの高さとストレートの力の入れ具合に気をつけました」と丁寧な投球を心がけた。

 またフォークでも三振を奪ったが、これは中学時代の経験を生かしたという。

「中学3年の時にNOMOジャパンに選ばれてアメリカ遠征をした時に野茂英雄さんに教えてもらったんです。その時に凄く通用したので効果的に使いました」

 ミックスゾーンでインタビューを受けている際も捕手の水上桂(明石商)が横を通るのに気づくと「今日は水上のリードのおかげです!」と聞こえるように話すなど、余裕や視野を広く持って戦えている印象だ。

W杯は「プラスになることしか」

 開会式の際には南アフリカの選手と交流を重ねた。

「何言っているかはよく分からないけど仲良くなりました」と話し、その選手から本塁打を放つことになったが「精いっぱい戦うのが国際交流だと思うので」といたずらっぽく笑った。

「こんなにいろんな国の人たちと交流する機会はなかなか無いですし、レベルの高い選手たちに囲まれて野球ができている。勉強になることばかりだしプラスになることしかありません」 

 最後には「メッチャ楽しいです」と満面の笑みを見せて西はミックスゾーンを後にした。

 降雨コールドで敗れた昨日の第4戦チャイニーズ・タイペイ戦でも5回のピンチで登板し、打者1人をスライダー、ストレート、フォークで三振を奪った。現在、佐々木朗希(大船渡)、奥川恭伸(星稜)らの状態がなかなか上がらず苦しいチーム状態となっているU-18侍ジャパン。そんな状況だからこそ、根っからの野球小僧が見せる“タフな姿”と“笑顔”に、大きな期待をせずにはいられない。

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