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「ヤマナカ、ダァッシュ」が初切符。
ラグビーW杯戦士の選出で思うこと。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byKyodo News
posted2019/08/30 14:15
4年前の屈辱を晴らした山中亮平。献身的なプレーと得点力が評価され、メンバー入りを果たした。
立川、山田らの落選はさみしい。
残念なこともある。
前回大会でチームの中核を担ったセンターの立川理道(クボタ)と、ウィングの山田章仁(NTTコム)には正直なところ、チームにいて欲しかったという思いがある。
ふたりの経験、そしてチームへの献身的な姿勢は財産に違いないと思っていたからだ。
ふたりとも最終合宿に呼ばれず、厳しい立場にあることは分かっていたが、実際にメンバー表に彼らの名前がないことに直面すると、さみしい。それでもジェイミーはバックアップメンバーの話になると、合宿参加者で選考に漏れた10名に加え、立川、山田も含めて考えることを示唆した。
もちろん、31名のメンバーがケガなく、最高のコンディションで戦って欲しい。それでも万が一の場合、すぐにバックアップの選手が合流できるのは地元開催の大きなメリットである。
位置づけが難しい南アとのテストマッチ。
不安なのは、9月6日に埼玉・熊谷で行われる南アフリカとのテストマッチだ。
開幕の2週間前に、4年前の雪辱を期す、世界ラグビー界の「巨人」と対戦するのはリスクを孕んでいると言わざるを得ない。
まず、南アフリカはデカい。ケガを避けられたとしても、体へのダメージは残る。
トップリーグ関係者からは、こんな声も聞かれた。
「首脳陣は、なんとかケガのリスクを減らしたいと考えるはずです。南アフリカは対戦成績を五分に戻すためにも、本気で来るはず。ジャパンはメンバー選考も終わっているので、位置づけが難しい試合になるでしょう」
W杯前、最後のウォームアップマッチは、重要な意味を持つ。前回大会は南アフリカ戦の前に、ジョージアと戦い、課題克服に取り組んできたスクラム、モールディフェンスで一定の成果が見られたことから、自信を持って本大会に臨むことができたと、スタッフ、選手たちは口をそろえて言う。