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岩出流「脱体育会系」で培う人間力。
帝京ラグビーが根付く教え子のW杯。
posted2019/08/21 11:50
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Kiichi Matsumoto
ラグビーワールドカップについて聞かれると、帝京大学の岩出雅之監督は「私はファン目線です」と控え目な笑みを浮かべた。
「スタッフの人たちにかかるプレッシャーを考えたら、チームの内側を知らない自分が余計なことは言えません。ネガティブなことは一切考えず、ビールを飲みながら応援します」
もちろん期待はある。この国のラグビーを下支えするひとりとして、W杯の成功を願わずにいられないのだ。
「日本のラグビーに関わっている方、応援をしてくれている方、これまで興味のなかった方に、言葉では表現できないダイナミックなプレーを目の前で見てもらえる。少年たちに夢を与えてくれると思いますし、高校や大学でラグビーをやっている選手は、本物の姿を見ることでエネルギーを掻き立てられるでしょう。あとはいいトリガーを大会中に引いて、一気に色々なものがつながって最高の大会になってほしい」
ジャパンに名を連ねる帝京大OB。
岩出がいう「トリガー」を引くのは、他でもない彼の教え子たちになるかもしれない。7月下旬から8月10日にかけてパシフィックネーションズカップを戦った日本代表には、帝京大学ラグビー部のOBが8人も含まれていた。
堀江翔太は3大会連続出場を、ツイヘンドリックは2大会連続出場を目ざす。中村亮土、流大、坂手淳史、姫野和樹、松田力也、堀越康介は、初のW杯スコッド入りへアピールを続けてきた。大学別で日本代表の最大勢力である。
「自分が何をやらなきゃいけないのか、彼らは分かっているでしょう。プレッシャーや責任も感じていると思いますが、そういう立場だからこそ味わえる楽しさもきっとある。一生に何度も経験できるものではないでしょうから、メンバーが決まるまでのプロセスも含めて、すべてを楽しんでほしいですね」