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“世界一”が不在でも強い米国バスケ。
ポポビッチ流チーム作りで結束固く。
posted2019/08/30 19:30
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph by
Getty Images
FIBAワールドカップで日本と同じグループEのアメリカ代表は大会史上初の三連覇を狙う優勝候補筆頭のチームだ。
もっとも、スーパースター級の選手の名前はなく、大会前に最も話題となっていたのは、多くの辞退者が出たことだった。
何しろ6月10日に代表候補20人が発表されたのだが、その時点で、すでにレブロン・ジェームズ、ステフィン・カリー、ケビン・デュラント、ラッセル・ウェストブルックといったトッププレイヤーたちの名前はなく、8月に入って代表合宿が始まったときには、20人の中からさらにジェームズ・ハーデン、アンソニー・デイビス、デイミアン・リラード、ブラッドリー・ビールら10選手が辞退した。
追加招集した中からも辞退者や故障による離脱が相次ぎ、結果的に、6月に招集された20人のうち7選手と、追加招集された5選手というチーム構成となった。
12人中、オールスターに選ばれたことがあるのはケンバ・ウォーカー(ボストン・セルティックス)、クリス・ミドルトン、ブルック・ロペス(共にミルウォーキー・バックス)の3人だけ。小粒感は否めない。
辞退者が続出したアメリカ代表。
果たしてどんなチームなのかを語る前に、まず、なぜこれだけ辞退が続いたのかに触れておこう。
いくつか理由があるが、一番大きな理由だと言われているのが、ワールドカップがオリンピックの前年に開催されるようになったことだ。というのも、アメリカの選手たちにとって、「ワールドカップよりオリンピック」という意識は根強く、一方で2年連続で代表活動によって夏をつぶすことに抵抗ある選手も多いため、ワールドカップのほうを辞退したのだ。
彼らにとって夏は次のシーズンに向けてスキルを磨き、体調を整える準備期間。契約金が高騰している分、万全の体調でシーズンを迎える責任も大きくなる。若手なら、代表活動をすることで成長することも期待できるが、ベテランになればなるほど、自分のペースで夏のトレーニング計画を組むからこそ、高いレベルを維持できているという意識は強い。
NBA全体にロード・マネージメント(身体の負荷管理)の考え方が浸透し、選手生命を長くするためには試合数を減らすことも重要だと理解されるようになったことも一因として考えられる。