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“世界一”が不在でも強い米国バスケ。
ポポビッチ流チーム作りで結束固く。
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byGetty Images
posted2019/08/30 19:30
ドノバン・ミッチェル(5番)、ジェイソン・テイタム(左)ら有望選手も出場するアメリカ代表。ポポビッチHCは短期間のチーム作りにも自信を見せた。
スタッフ増員、急ピッチなチーム作り。
アメリカにとって、一番の問題は時間との戦いだろう。同じようなメンバーで長年戦っている他国と比べると、チーム作りの面では遅れを取っている。ワールドカップ予選もまったく別のチームで戦っており、チームとしての活動が始まったのは8月5日。準備期間1カ月にもならず本番を迎えるため、短期間の早回しでチーム作りを進めなくてはいけない。
8月半ば、キャンプが始まって2週間目に入った頃に、カーに短期間でのチーム作りのコツについて聞いたところ、キャンプ中のスタッフ増員をその一例としてあげた。
「私たちは最初から多くのスタッフを用いた。NBAのキャンプの倍ぐらいの人数だ。時間がないから、とにかく選手たちに対して情報を詰め込んでいった。選手たちはそれをうまく吸収してくれている。今はまだ少し考えているけれど、無意識でプレーできるところまで持っていきたい。このグループなら、学んだことをコート上で発揮できると信頼している」とカーは語った。
「均等にバランスがとれたチーム」
デュラントやコービー・ブライアントのような、どんな状況からでも点を取れる選手がいない現チームでは、堅守とバランスのいい攻撃がチームのアイデンティティになると、カーは言う。練習では、あらかじめ決められたセットプレーと流れから選手たちが判断しての攻撃の両方を導入し、チームに何が合うかを試しながら、大会に近づくにつれて削っていくやり方を取るのだという。
「オールスター選手もいるけれど、全体としては均等にバランスがとれたチームだ。だから、守り、共にうまくプレーし、外れたシュートを追い、相手を止め、トランジションで点を取る。
今はまずすべてを導入して、このグループでうまくできるかを試しているところだ。大会が近づいたら、オフェンスを削っていき、うまくできるとわかっているオフェンスを中心にやるようになると思う」