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猛暑のなか9試合無敗、首位も撃破。
絶好調・J1広島の省エネサッカー。 

text by

熊崎敬

熊崎敬Takashi Kumazaki

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photograph byGetty Images

posted2019/08/23 08:00

猛暑のなか9試合無敗、首位も撃破。絶好調・J1広島の省エネサッカー。<Number Web> photograph by Getty Images

一瞬の隙を逃さなかった広島・柏好文。首位FC東京相手に貴重な勝点3獲得に貢献した。

シティのサッカーと通じるもの。

 ジョゼップ・グアルディオラが鍛え上げたチームは、変に攻め急いでボールを失うようなことはしない。前にボールを運んでも、その先が厳しければ、無理をせず後ろや横にいる「いい体勢」の味方に預ける。

 ゴールから一度は遠ざかったとしても、いい体勢の味方に預けることで、ゴールへの手順は進んだという考えかただ。勝負をかけるのは、残り1/3に入ってから。そこまでは素早く丁寧にパスをはたいて、全体を押し上げていく。

 もちろん、シティと広島ではクオリティは異なる。だが、リスクを冒さず、安全な道を選ぶという考え方は相通じるものがあった。

シュート2本で獲った勝点3。

 後半も「動きの少ない一方的な展開」は続き、61分、広島に突然ゴールが生まれる。

 敵陣右サイドから3本の横パスがつながり、左サイドの柏好文に渡る。柏が1対1になったところで、横にいた川辺駿が同サイドの縦に流れ、ここに縦パスが通る。

 横、横、横と来て縦。いままでになかった、リスクを負ったプレーだった。東京の注意が川辺に集まったところで、柏はペナルティエリア左にできたスペースに走り込み、リターンパスをそのままフィニッシュ。ニアサイドを打ち破る。

 広島は、たった一度のチャンスを確実に仕留めた。

 彼らは、この試合2本目のシュートをゴールに結びつけた。そしてこれが、広島の最後のシュートになる。シュート2本で1-0。終盤のカウンターからのチャンスは逃したが、広島は省エネサッカーで勝点3を手に入れた。

 盛りは過ぎたが、猛暑はもうしばらく続きそうだ。広島が見せた、冒険しない確実性重視の省エネサッカーは、夏を乗り切るひとつのヒントになるのではないか。

【次ページ】 術中にハマった首位FC東京。

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