プレミアリーグの時間BACK NUMBER
ダービー加入決定のルーニー。
「天才」の最後の雄姿を見逃すな!
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byUniphoto Press
posted2019/08/22 08:00
入団会見でフィリップ・コクー監督(左)と握手をかわすルーニー。
ギャンブル系の広告入りユニフォームが当たり前。
つまり、ギャンブル系の広告入りのユニフォームを着るのが当たり前の国内リーグ事情なのだから、普通のファンが今季後半からダービーの白いユニフォームを身にまとうルーニーを、批判論者たちが言うように「32レッドのルーニー」という目で眺めるとは思えない。
ダービーの「32番ルーニー」には、「プレミア昇格」争いにおける貢献が見込まれる。昨季はフランク・ランパード(現チェルシー監督)の監督抜擢で勢いを得てプレーオフ決勝に進出し、昇格まであと1勝と迫った。
新たにフィリップ・コクーが指揮をとる今季は、若手にとってはルーニーとプレーするという絶好の機会にもなった。意欲を掻き立てられないはずがない。
ロイ・キーンが認めた才能。
そもそもルーニーという選手は、マンチェスター・ユナイテッドに移籍した18歳の頃から、「ロッカールームに現れただけでチームの士気が高まる」と言われるほどの存在だった。しかも、著書の中でそう認めた元チームメイトは、大先輩にしてリーダー格だったロイ・キーンだ。
そのキーンが「一目瞭然」と語ったルーニーの能力は、当たり負けしない体に備わっている柔らかなタッチと正確なコントロール、視野とパスレンジの広さ、シュートの強さと精度などに特長がある。いずれもベテランとなった現在のプレーからも見てとれる。
さすがに物理的なスピードは若いころのレベルにはないが、衰えない頭の回転の速さと、経験によって磨かれた判断の素早さで補っている。イングランドの2部リーグが全体的にアメリカのトップリーグよりレベルの高いとしても、ルーニーは持てる力を発揮し得ると見る。