ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
苦手な夏に月間MVP、鼓舞する姿も。
十字架背負う山崎康晃へ高まる信頼。
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byKyodo News
posted2019/08/16 18:45
毎年、夏に調子を落としていた山崎康晃。今年は後半戦に入ってからも好調を維持している。
打者3人できっちり抑えるピッチング。
山崎は以前まで「ランナーを出しても最終的には無失点で抑えればいい」と語っていた。それもひとつの方法論であることは間違いない。たしかに春先は事あるごとにランナーをためピンチを迎える場面が多々見られた。
しかしながら、ここ最近は打者3人できっちり抑えるピッチングに変貌を遂げている。三浦大輔投手コーチからの苦言もあったというが、そのあたりの意識の変化はどうなっているのか。
「例えば同点の9回表は、最後の望みを賭けマウンドに上がります。そういうときにはいいサイクルで9回裏に繋げたいので、極力3人で終わらせたいという思いはあります。同様にセーブが付く場面でも、最後の終わり方ひとつで翌日の戦い方が変わってくる。難しいところですが、そこは気にかけるようにはしていますね」
その場その場ではなく、経験が豊富になりつつあるクローザーとしてシーズンの流れ全体を俯瞰する必要性があることに山崎は気がついている。
「打たれたら終りのポジション。そういう意味では割り切っているところもありますし、いいピッチングをするための種まきもしてきている。だからこそ結果どうこうよりも、よい選択や判断ができるようにしたいんです」
佐々木主浩という「十字架」。
思えばベイスターズにあって山崎は大きな十字架を背負っていると言ってもいい。
見解の相違はあるだろうが、比較対象となるのは他球団のクローザーではなく、1998年にベイスターズを日本一に導いた佐々木主浩だからだ。時代もちがえば状況もちがうのはわかっているが、相手チームから「佐々木が出てきたら終わり」と言わしめた圧倒的なクローザーと比較されるのはベイスターズにいる以上仕方のないことである。
だからこそ、山崎はセーブ王になろうがプロ野球史上最年少で150セーブを挙げようが、決して歩みを止めない。