甲子園の風BACK NUMBER
高校野球史上最高の投手なのか……。
佐々木朗希を江川卓と比較してみた。
text by
太田俊明Toshiaki Ota
photograph by(L)Kyodo News/(R)Asami Enomoto
posted2019/08/15 11:50
写真左は、1973年の夏の甲子園。対銚子商戦での江川卓の投球フォーム。右は岩手県大会での佐々木朗希。
もし江川があのまま順調に伸びていたら……。
巨人入団時の投手コーチだった杉下茂は、江川の左肩が早く開き、右腕を振り切らずに押し出すようにしているのを見て、「肩を痛めているのではないか」と思ったという。
プロ野球に入ってからは肥満し、下半身が使えず腰高のフォームとなり、ますます腕に頼るフォームに変わっていった。
江川は、高校3年で球速に関しては成長が止まってしまった。
その江川に佐々木が勝っているものが、少なくとも3点ある。
ひとつが、高校時代に国保監督によって故障を起こさぬよう大切に育てられたという点。2つ目が体格。183センチの江川に対して、佐々木は既に190センチで、更に成長しそうだ。3点目が、江川が大学に進んで更なる連投を強いられたのに対して、佐々木がプロ入りを選ぼうとしている点だ。現代のプロ球団であれば、連投を強いられることもないし、科学的な投手育成方法にも精通している。
高校時代の江川を見た者は誰でも、もし江川があのまま順調に伸びていっていたら、どんな投手になっただろうと夢を見る。
佐々木投手には、ぜひその夢の続きを見せてほしい。