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拍子抜けする程ジャパンは強かった。
トンガに快勝、花園スタッフの本気。
posted2019/08/05 15:45
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
AFLO
41-7。
ジャパンはトンガを一蹴した。
拍子抜けするほど、ジャパンは強かった。
トンガには、日本と比べて合宿の期間が短いなど勘案すべき点はある。
しかしかつて、トンガは自慢のフィジカルを武器にガツンと骨が軋みそうなコンタクトをかましてきて、そのたびに日本の選手がピッチに吹っ飛ばされるのを何度も目撃してきた。
ところが、いまのジャパンの選手は譲らない。ひとりではなく、ふたりのダブルタックル。グイグイとトンガの選手を押し戻す。
特に38歳になったトンプソンルークが体を張り、ルースボールを確保するなどの「下働き」に励む姿を見ているとジーンとしてくる。
そう、4年前のあの日、南アフリカと戦った時のように——。
ディフェンスだけではない。アタックも時と場所をわきまえ、疑問符がつくような粗雑なプレーは見受けられなかった。驚くほどの安定ぶりである。
この4年間、スタンドオフで20試合以上もプレーしてきた田村優は、かつてのようにキックに拘泥するだけでなく、パスとキックをうまく組み合わせ、得点機を演出している。
そしてウィングの松島幸太朗、福岡堅樹のふたりのフィニッシャーの切れ味を見ると、「今日がW杯だったなら」と思わずにはいられない。
堀江翔太の頼もしい落ち着き。
もちろん課題もある。
後半苦戦の要因は、スクラムが押され、終盤まで修正がきかなかったことがある。
それに加え、ラックでボールを持ちこんだ選手の次に入るべき「アライビング・プレーヤー」の到着が遅れ、ターンオーバーを許したり、反則を犯すシーンが見受けられた。
ただし、フッカーの堀江翔太(ミックスゾーンでは、頭髪部にグルグル巻きにしたタオル姿で現れた)は落ちついたもので、
「ああ、たしかに。でも、持ち込んだ選手が孤立してたという感じじゃないですね。やっぱり2番目、3番目の選手の寄りが課題ですかね」
と織り込み済みの様子。堀江の落ちつきはらった受け答えを聞いていると、このエリアでも上積みの要素はありそうだ。