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遠藤保仁、公式戦1000試合出場。
定位置を失っても新たな輝き方。
text by
下薗昌記Masaki Shimozono
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/08/05 11:30
約20年間、日本サッカーの顔であり続けた遠藤保仁。公式戦1000試合出場はあまりにも偉大な記録だ。
レギュラーを失った状況の中で。
しかし、過去に積み上げてきた記録と違うのは、現在の背番号7の立ち位置だ。常にチームの中心としてピッチ上でキックオフの笛を聞き、ほとんどの試合でタイムアップの瞬間を迎えていた遠藤だが、今シーズンは、世代交代の荒波の中で懸命にもがき続けている。
潮目がガラリと変わったのは5月18日に行われたセレッソ大阪との大阪ダービーだった。リーグ戦で7試合勝利から遠ざかっていたチームは3バックをベースとする新布陣に、福田湧矢や高尾瑠ら若手を抜擢。遠藤は後半36分からピッチに送り出されたものの、その後のリーグ戦で先発したのはわずかに2回。レギュラーの座を失った格好である。
遠藤はこう言う。
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「実力の世界なので、監督がそう思えば、そういうこと。恒さんが監督である限りは、毎試合出ているメンバーがその時のベストということ。僕もそこに食い込んで行けるようにしたい」
宮本監督は「切り札」として起用。
かつては1秒の狂いも見せない精密な時計さながらに、正確なパスを繰り出してきた遠藤ではあるが、やはり時の流れは残酷だ。
途中出場した7月13日の清水エスパルス戦では投入直後のこと。全盛時の遠藤ならば、まず目にすることがなかったショートパスのミス。自らのミスで招いたピンチに「ヤベッ」と言わんばかりに泥臭く体を張る場面も少なくなくなった。
走力と強度を重視した現在のガンバ大阪のスタイルは、遠藤のストロングポイントと合致しなくなり始めているのは事実だが、それでも宮本恒靖監督は、「切り札」としての遠藤をこう位置付けている。
「ガラッとゲームを変えるとか、今ここまでボールを運べているから、最後の一刺しがしたいという時のオプションを持っているのは大きい。存在は大きいですよ」