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ディープ急死はイギリスでも話題。
現役ラストラン、武豊との逸話とは。
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph bySatoshi Hiramatsu
posted2019/08/02 08:00
当時の「芝長距離部門」の世界ランク1位として臨んだ2006年の凱旋門賞では、断然の1番人気に支持された。
現役ラストの有馬前に武豊が……。
さて、そんなディープインパクトだが、競走馬としての現役最終戦を前に、こんなエピソードがあった。
有馬記念の直前に香港でのレースに騎乗した武豊騎手は現地で騎乗停止処分を受けてしまう。これによって有馬記念でのディープインパクトの騎乗が出来ない可能性が出てきたのだ。
これに対して大岡裁きをみせてくれたのが香港ジョッキークラブだった。
本来なら有馬記念の際も効力を発揮する騎乗停止処分を「有馬記念が終わった後から」と変更。これにより、日本一のジョッキーと日本競馬史上最強馬のラストランまでのランデブーが継続されることになったのである。
横山典、福永が言っていたこと。
ちなみに当時、私はこの件について横山典弘騎手と福永祐一騎手と3人で会話をした事を覚えている。
いずれもトップジョッキーの2人であるが、横山騎手が「乗れるチャンスがあるなら乗ってみたかった」と語ったのに対し、福永騎手は「騎乗依頼が来たとしても尻込みしちゃいそう」と言っていた。
先述した通り、2人はともにトップジョッキーである。そんな彼等をしてもそんな思いにさせる。それがディープインパクトという馬だったのだ。
まだ17歳での旅立ちは日本の競馬界、いや、世界の競馬界にとって大きな損失である。本当に残念でならないが、どうか安らかに眠っていただきたい。
これまで競走馬として、種牡馬として、我々ファンに多大なる貢献をしてきた史上最強馬にかけられる声は、それしかない。