ぼくらのプロレス(再)入門BACK NUMBER
ジェイ・ホワイトは新日本を変える。
棚橋弘至が認める、本物のヒール。
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph byGetty Images
posted2019/08/01 08:00
ケニー・オメガとは衝突した棚橋弘至が、ジェイ・ホワイトには親近感を感じている。その意味は大きい。
棚橋が「ちょっとヤバイ」と認める男。
本誌では誌面にかぎりがあるため載せられなかったが、今回のインタビューで棚橋が、そんな新日本改革を進める上でのキーパーソンとして名前を挙げていた選手がひとりいる。バレットクラブの現リーダー、ジェイ・ホワイトだ。
棚橋にとってジェイは、昨年のG1クライマックス公式戦で敗れ、今年の2.11大阪大会ではIWGPヘビー級王座を奪われた因縁の宿敵。そのジェイを棚橋は「若いけど、認めざるをえない実力者」と語る。
「ジェイ・ホワイトは運動能力が高いのはもちろん、若いのに自分のプロレスに信念を持っていて、あえて新日本プロレスのトレンドとは逆方向を走ってますよね。オールドスクールな憎憎しいレスラーというか。で、あの若さであのビジュアルじゃないですか。ちょっとヤバイですよね」
実績にまだ人気が追いついていない状態。
ジェイ・ホワイトは2014年12月の入門テストで、ニュージーランド人ながら新日本プロレスに“ヤングライオン”として入門した、日本育ちのレスラー。'16年7月から新日本の提携団体であるアメリカのROHに“海外武者修行”に出発し、翌'17年11月にヒールとして凱旋帰国した。
そして昨年のG1クライマックスでは、決勝進出こそならなかったものの、Aブロックの予選リーグで棚橋、オカダ・カズチカを破るなど6勝3敗の堂々たる戦績を残し、今年の1.4東京ドームではオカダとの再戦にも勝利。さらに2.11大阪大会では、棚橋を破り史上3番目の若さでIWGPヘビー級王座を戴冠した。
'14年12月の新日本入門から、わずか4年2カ月でIWGP王座獲得は快挙と言っていいだろう。しかし、あまりのスピード出世は、時としてファンの反発を招き、ジェイへのブーイングは日に日に大きくなっていった。
実績にまだ人気が追いついていない状況があるのだ。
「でもね、ファンも次第に気づきますよね。『コイツ、うまいな』とか『技術があるな』って。もちろん本気で嫌ってるブーイングもあるんですけど、アイツが自分で勝ち取ってるブーイングもありますね」