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ジェイ・ホワイトは新日本を変える。
棚橋弘至が認める、本物のヒール。 

text by

堀江ガンツ

堀江ガンツGantz Horie

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photograph byGetty Images

posted2019/08/01 08:00

ジェイ・ホワイトは新日本を変える。棚橋弘至が認める、本物のヒール。<Number Web> photograph by Getty Images

ケニー・オメガとは衝突した棚橋弘至が、ジェイ・ホワイトには親近感を感じている。その意味は大きい。

ケニー・オメガへのアンチテーゼ。

 ジェイ・ホワイトのファイトスタイルは、派手な大技は極力使わず、細かいテクニックとインサイドワークで対戦相手を翻弄し、観客の気持ちを逆撫でしていくという、古き良き時代のヒール王者を思わせるもの。

 それはアスリートとしての運動能力を駆使して大技を次々と仕掛け、相手の危険な技も受けてみせるという、バレットクラブの元リーダーであるケニー・オメガの試合スタイルや、ヒールでありながら次第に“ベストバウトマシン”としてベビーフェイス化していったことへのアンチテーゼのようでもある。

「いま“ヒールベビー”が多いんですよ」

 そこも棚橋がジェイを高く評価する要因のひとつとなっている。

「いま“ヒールベビー”が多いんですよ。ヒールであってもカッコよくて人気があるというね。たとえばL・I・Jであったりとか。かつてのCHAOSだったりとか。そういうなか、ひとりで嫌われ者を担ってるっていう、その凄みは感じますね。

 これって、なかなかできることではないんですよ。レスラーである以上、“応援されたい”っていう部分はどこかに残ってしまいますからね。

 そして、ああいうヒールに振り切ったレスラーが、いつかベビーターンしたときの強みって恐ろしいんですよ。針って大きく振れたほうが面白いんです。真ん中くらいでヒールベビーをやってるレスラーよりも大ブーイングをもらっておいてベビーターンしたほうが、より歓声は大きくなる。

 たとえばかつてのショーン・マイケルズであったりとか、あるいは棚橋弘至とか(笑)。僕もアイツにはやられてるので悔しい気持ちはありますけど、それ以上にすごい素材だなっていう思いはありますね」

 今年のG1クライマックス、ジェイ・ホワイトは優勝候補のひとりとして名前があがりながら、開幕3連敗と出遅れた。しかし、結果がどうであれ、その存在感は日に日に増してきている。

 そしてジェイが本当の意味でトップに立った時、新日本プロレスマットは、いまとは違った風景になっているだろう。その時こそが、真の“NEW ERA”到来となるのだ。

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