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内藤哲也がG1優勝から遠のく3敗目。
モクスリーとオカダ・カズチカは無敗。
posted2019/07/30 08:00
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
内藤哲也は聞いてはいけないスリーカウントを聞いてしまった。ジョン・モクスリーの強さに、内藤は無念の3敗目を喫した。
7月28日、名古屋の愛知県体育館(ドルフィンズアリーナ)で行われた新日本プロレスのG1クライマックスのメインイベントは内藤vs.モクスリーだった。
Bブロックはこの日、全9戦のうちの5戦目で、試合前まで内藤は2勝2敗、首位を走るモクスリー4勝無敗。内藤はこの直接対決で、勝ち点を縮められるチャンスをものにしたいところだった。星勘定から考えて内藤に負けは許されず、もしもの3敗目は優勝戦線から大きく遠のくことを意味していた。
内藤には自身が保持しているIWGPインターコンチネンタル王座とともに、オカダ・カズチカが保持しているIWGPヘビー級王座を同時に巻くというプランがある。それはできることなら来年1月4日の東京ドーム大会で実現したいと思っている。
そんな内藤の願いは、このG1クライマックスで優勝すれば自動的にIWGP王座への挑戦の権利証を手にすることができるから、ぐっと引き寄せることができる。
観客をかき分けて登場したモクスリー。
前日、内藤から挑発されてかなりいらだっていたモクスリーだが、印象的なシーンがあった。モクスリーはリング上でゆっくりと息をしながら10数えて「カームダウン」(落ち着け)と冷静さを保つように自らに言い聞かせていた。
モクスリーは入場ゲートから現れようとはしない。この日も、2階の照明の落ちた暗い観客席に姿を見せると、観客をかき分けて1階のアリーナ席に降りて来てリングに入って内藤を待った。
内藤は後からライトを浴びて赤い花道に姿を見せると、ゆっくりと、ゆっくりと歩いた。途中で何度も立ち止まって、リング上のモクスリーを「トランキーロ、あせんなよ」と挑発し続けた。
モクスリーは腕時計を示すポーズで内藤の入場を「カマン。早く入って来い」と促した。