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花巻東と佐々木朗希への思い――。
大谷翔平が“決勝前”に話した言葉。

posted2019/07/27 09:00

 
花巻東と佐々木朗希への思い――。大谷翔平が“決勝前”に話した言葉。<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

母校とともに佐々木朗希への思いを述べた大谷翔平。自身も二刀流復帰へ向けて着々と歩みを進めている。

text by

笹田幸嗣

笹田幸嗣Koji Sasada

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Nanae Suzuki

 大谷翔平と菊池雄星の母校・花巻東が25日、2年連続10度目の夏の甲子園出場を決めた。

 前日、大谷は母校の決勝戦の相手が高校最速163キロを誇る佐々木朗希の大船渡になることを問われると、こう答えた。

「母校を応援したいなと思います。それは普通なんじゃないかなと思いますし、是非頑張ってもらいたいなと思います。佐々木投手に関しても、全力で悔いのないように頑張って欲しいと思います」

 この時点で佐々木が決勝戦の登板を回避すると想像した者はほとんどいなかったに違いない。大谷の発言からもそれは推測できる。それでも大谷は「(佐々木の投球を)見たことがないので、まぁ、素晴らしいんだろうなと、数字だけでも……」と言った後にこの言葉を付け加えることを忘れなかった。

「ここで勝った、負けたで終わる選手ではないと思うので、まずはそこじゃないかなと」

甲子園だけがすべてではない。

 甲子園を目指す高校球児にとって、地方大会決勝はまさに勝負のとき、決戦の場である。クールな今どきの現代っ子でも、“スポ根魂”が炸裂し「腕が折れても……」の思いでマウンドへ上がる。それが高校野球であり、独特の“魔力”もそこにある。

 佐々木自身も「高校野球をやっていたら試合に出たい、投げたい思いはあります」と言ったと聞くし、本人にとっては、不本意な回避であったことは想像するに容易い。

 大谷とて、高校球児の気持ちは百も承知だ。自身も7年前に経験したばかり。それでも、彼は佐々木朗希へ「甲子園だけがすべてではない」といった旨のメッセージを決勝を戦う前に送った。

 日本では登板回避の是非を問う声も多くなるだろうが、日米に於いて、近代野球では常識では考えられなかった二刀流を現実のものとし、世界最高峰の選手が集まるMLBに身を移しても投打ともにトップ選手として君臨する、その大谷だからこそ言える珠玉の言葉―――。

 日々に一喜一憂することなく、大志を抱き、貫き、邁進して欲しい。大谷の言葉には佐々木へのそんな思いが込められていると感じた。

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