ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
清宮キラー、DeNAで2年目の覚醒。
櫻井周斗を変えた大家コーチの一言。
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byKyodo News
posted2019/07/21 08:00
2018年にドラフト5位で入団。高校で3番を打っていた打撃も注目されたが、投手として立場を確立しつつある。
二軍で大家コーチに言われたこと。
「たしかに自分でもゴールデンウィークぐらいからすごく良くなってきたという感覚があったんです。とくに大きく変えたというのはないんですけど、プロに入って以来、僕はフォームを探していたところがありました。
本当、立ち方を変えたぐらいなんですけど、4月後半に『あ、このフォームだ』というものを掴んだんですよね。そうしたら制球はもちろん球速も上がり出したんです」
若い力は、ほんの些細なきっかけで大きく変貌を遂げることがある。制球で苦しみ縮こまってしまった昨年、二軍の大家友和投手コーチに言われた一言が胸に残っている。
「俺はフォアボールを出すなとは言っていないよ。むしろフォアボールという言葉さえ出していない。お前は、自分で自分を追い込んでいるだけなんだ」
言われないと気づかないこともある。だが、櫻井は言われなくても自分で気づかなくてはいけないことの重要性を知ったという。それがプロなのだと。このような心構えがあったがゆえに櫻井は自分のフォームを探し当てた。
ブルペンの先輩からもアドバイス。
一軍で経験する初のブルペンワーク。覚えることはたくさんあるが、経験豊富な先輩たちの助言に支えられ、日々汗を流している。
「すごくやりやすい環境で過ごさせてもらっています。とくに三嶋(一輝)さんや国吉(佑樹)さん、(山崎)康晃さんからは、よくアドバイスをもらっています。
例えば試合状況においてビハインドの場面や、ワンポイントの可能性、どんなタイミングで、どのような準備をすればいいのか。3人から『ここで来るかもしれないから、体を動かしておいたほうがいい』と言われると、肉体的にはもちろんなのですが、気持ちも作りやすい。本当に助かってますね」
櫻井はそう言うと、初々しさを内包した凛々しい表情を見せてくれた。そして力強くうなずく。
「だからこそ自分のやれる仕事をしっかりとやっていかなければいけない。僕の代わりはたくさんいる世界ですからね」