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平成元年と令和元年のオールスター。
村田兆治のガチさ、サイクルの緩さ。 

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中溝康隆

中溝康隆Yasutaka Nakamizo

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photograph byYasutaka Nakamizo

posted2019/07/19 11:30

平成元年と令和元年のオールスター。村田兆治のガチさ、サイクルの緩さ。<Number Web> photograph by Yasutaka Nakamizo

「セ・リーグ」「パ・リーグ」というレアなパネルが見られるのもオールスターならでは。

甲子園歴史館は500円なのに大充実。

 時計の針は午後3時、まだ開場までは時間がある。ゆっくり『甲子園歴史館』をまわろう。東京ドームの野球殿堂博物館なら何度か行ったことがあるが、甲子園歴史館は初体験だ。

 入館料は入口でジャイアンツのファンクラブ会員証(12球団どこの会員証でもOK)を提示すると100円引きのおとな500円(こども300円)。基本的に阪神タイガースと高校野球の歴史を振り返る展示だろうなと思ったら、アトラクション満載でいい意味で期待を裏切られる。

 VR体験コーナーでは満員の甲子園でのリリーフカー乗車を映像で体験できたり(リアルすぎて軽く車酔い)、ドラフト体感コーナーでは「好きな球団」を選び、氏名や出身校を入力すると実際のドラフト会議と同じモニターに表示され写真撮影もしてくれる。

 展示フロア移動の際の通路には1983年(昭和58年)までスコアボードで使用していた「バース」や「掛布」といった手書きの選手名板や、甲子園を題材とした名作漫画を壁面全体でド迫力紹介とお客を飽きさせない工夫がいたるところに。

 個人的に熟読したのが『甲子園人物録』のコーナーだ。名物のカレーライスは1924年(大正13年)の球場開設時から販売しており、昭和初期には1日1万食も売れまくり調理が追いつかなかったことも。

 甲子園で初めてラジオ実況放送が行われたのは1927年(昭和2年)8月の第13回夏の大会初日、初のテレビ中継は第35回大会の1953年(昭和28年)8月だ。大正、昭和、平成、令和が詰まった球場。まさに野球の聖地である。

 さらにオールスター特別展示で王貞治の背番号1TOKYOユニや秋山幸二の西武時代使用のスパイクを堪能していたら、あっという間に時間になってしまった。これで500円はオススメだ。また来よう。

菅野の6年前の初出場に思いを馳せて。

 小雨は続いていたが、持っていたチケットの三塁側ブリーズシートは運良く銀傘の下で濡れない席だった。ホームランダービーは初戦で強烈なパワーを見せつけた吉田正尚(オリックス)を鈴木誠也(広島)が圧倒し優勝を飾り、いざ夕方6時半試合開始。全セの先発投手は7度目の出場の菅野智之(巨人)だ。

 思えば、菅野のルーキーイヤー、2013年球宴が行われた神宮球場で初出場初登板をスタンドから見た。気が付けば、あれからもう6年が経つ。今回のオールスターで最多出場選手は11度目の巨人キャプテン坂本勇人である。ついこの間まで若手と思っていた彼らが、もう立派なアラサーの常連組だ。野球界の時の流れは本当に早い。そりゃあ俺らもいい歳になっちまうよ。

【次ページ】 近本のサイクルに拍手を送る雰囲気に……。

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