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F・トーレスとの“熱狂の対面”で、
内川聖一が思い出した自分の原点。
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKotaro Tajiri
posted2019/07/18 11:30
7月2日の記者会見でF・トーレスにサインをもらう内川。サッカーだけでなく、バレーボールなどの観戦にも訪れるスポーツ好き。
スタンドから存在感の大きさを感じた。
また、内川は昨年、鳥栖のスタジアムに足を運んで試合を生観戦している。この時はオフのテレビ出演で知り合った浦和レッズの槙野智章の応援がもともとの目的だったようだが、高いスタンドから緑のピッチを見渡すと、視線は自然とサガン鳥栖の背番号9を追いかけていた自分に気づいたという。
「スタンドから見てもトーレス選手の存在感の大きさを感じました。一人のファンとして選手を応援する気持ちが凄く分かったような気がしました。僕自身もそういう存在でいられたらいいなと改めて思いました」
内川がスタンド観戦するのはサッカーだけではない。地元大分にはバレーボールVリーグのチームがあり、自主トレ中に日程を自ら調べて会場に足を運んだこともあった。
キラキラした存在でありたい。
「バレーの細かな技術的なところは分からないけど、コートで選手が輝いている姿を観客目線で見るのはやっぱり楽しい。サッカーもそうだけど、並んで入場してくる瞬間にワーッと沸くスタジアムってかっこいいですよね。
あと、プロレスも大好きなんです。エンターテイメント性があって。上手いレスラーって技をかけられた時にどこが痛いか、上手く表現できるんですよ。ただ痛がるだけじゃない。ここが、こんな風に痛いって。受け身の美学ですよね。ああいうエンターテイメント性があるもの見ると、自分もキラキラした存在でありたいなと思うんです」
トーレスとの対面を果たしてニコニコ顔が止まらなかった内川。そんな表情は久しぶりに見たような気がした。
今季は内川らしからぬ打撃成績が続いている。月間打率は4月が.263だったのが5月.242となり、6月は.230とさらに下降。打率3割以上が当たり前だったはずなのに、打撃ランキングの下から数えるとすぐに名前が見つかるという状態だった。
だが、交流戦が終わって、リーグ戦が再開するとちょっと潮目が変わってきた。