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優勝したジョコすら羨むテニス人生。
37歳のフェデラーは走り続ける。 

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山口奈緒美

山口奈緒美Naomi Yamaguchi

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photograph byGetty Images

posted2019/07/16 11:50

優勝したジョコすら羨むテニス人生。37歳のフェデラーは走り続ける。<Number Web> photograph by Getty Images

過去、ウィンブルドン決勝で2度フェデラーを破っているジョコビッチ。2人の激闘は、当分の間、続きそうである。

錦織「昔のようにラリーをしてくれなくなった」

 2016年2月に左膝のケガで人生初の手術を受け、ウィンブルドン終了後に残りのシーズンをリハビリと充電にあてた。

 翌年明け、復帰戦となる全豪オープンで4年半ぶりのグランドスラム優勝を果たすと、半年後のウィンブルドンで5年ぶり8度目の栄冠を獲得。

 復帰時の世界ランク17位からウィンブルドン後にはトップ3に復帰し、昨年2月には1位に返り咲いた。以来、トップ3から落ちたのは3カ月ほどだ。

 錦織圭は、復帰後のフェデラーのプレーの変化についてこう話す。

「昔のようにゆっくりラリーをしてくれなくなった。僕に対しても、他の選手に対しても攻め方が変わってきたと思います」

 年齢とともにポイントをいかに早く決めるか、いかに効率良くゲームを取るか、セットを取るかということを、徹底して実践しているのだろう。

 もちろん選手寿命の長期化とトップレベルの維持を睨んでのことだ。

 フィジカル面のレベルの維持にも余念がない。フェデラー自身がウィンブルドンの最中に話していた。

「今は若いときよりもウォームアップに時間と手間をかけないといけない。正直言ってあんまり楽しいことじゃないよ。

 若い頃は軽くピョンピョンとジャンプしてすぐにコートに入ったものだから、こんなことが本当に必要なのかって思うこともある。でも今のところ成果も感じるから続けてるよ。本当に飽きてしまったらそのときはテニスをやめるときだ」

対ジョコビッチ戦は22勝25敗だった。

 ユニクロに着替えた最初の1年の間に、マイアミでツアー101回目の優勝など輝かしい足跡を残し、37歳で迎えた今回のウィンブルドンで2年ぶり12回目の決勝進出を果たした。

 ウィンブルドンでは2008年の伝説の決勝以来となるラファエル・ナダルとの対決に準決勝で勝利し、過去22勝25敗というテニス史上最多の回数を戦ってきたノバク・ジョコビッチとの決勝。

 比較的フェアなウィンブルドンの観客があからさまなフェデラー贔屓に沸く中、完璧なクライマックスのシナリオが書き進められていた。

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