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男子ジュニア世界一の望月慎太郎。
盛田ファンドの功績と評価の行方。
posted2019/07/17 12:10
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph by
Hiromasa Mano
日本の男子で初めてグランドスラム・ジュニアのチャンピオン、世界ジュニアランキング1位が誕生した。
16歳の望月慎太郎の快挙に対して、私たちはまったく何の貢献もしていないのだが、海外のメディアの人たちからも「おめでとう」「すごくいい選手じゃないか」などと言ってもらえる。中には基本的な情報などを知りたがる人がいて、「IMGアカデミーに4年くらいいる」などと話せば、決まってこう返される。
両親はどんな仕事をしているのか――。
IMGアカデミーで生活するということにどれだけお金がかかるか、皆知っているのだ。そうなると、話は「盛田正明テニスファンド」に移る。海外にはもちろんその存在を知らない人も多く、そんな奇特な人がいるのかと一様に驚く。
盛田ファンドの活動内容とは。
ソニー創業者の1人である盛田昭夫氏の末弟で、ソニー生命保険の社長も務めた盛田正明氏(現日本テニス協会名誉顧問)が、日本テニス協会の会長に就任する前に私財を投じて日本の若い選手を育成するために立ち上げたのが、通称“盛田ファンド”。厳しい選考を行なった上で、毎年1~2人のジュニア選手をフロリダのIMGアカデミー及びクラブメッド・アカデミーにてトレーニングや教育を受けさせている。
ファンドから支給されるのは、年1回の航空チケット、アカデミーの滞在費用、学費、日本の通信教育費などで、年間800万から1000万円といわれる。
今年の全豪オープン・ジュニアのダブルスで優勝した川口夏実も盛田ファンド生としてフロリダに留学する17歳。卒業生の中にも、錦織圭のほか西岡良仁や今回のウィンブルドンでグランドスラム初出場を果たした内山靖崇も、かつて盛田ファンドの支援を受けた選手たちだ。
これだけでも上々の成果であることは確かだが、2000年に第1期生を送り出してからこれまでに30人近くがいるというから、成功の裏には幾多のケースがあることも容易に想像できる。