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ブラジルを「解放」したコパ優勝。
リオは季節外れのカーニバル状態に。
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byGetty Images
posted2019/07/08 12:30
守護神アリソンが優勝カップを持ち上げ、ファンも喜ぶ。開催国優勝というノルマをセレソンは成し遂げた。
10人になったブラジル、魂の守備。
55分過ぎからは、ペルー選手が闘志を剥き出しにして前へ出る。70分、ジェズスが中盤の競り合いで無用なファウルを犯し、2枚目のイエローカードを受けて退場を受けた。
以後、ブラジルは防戦一方となる。74分、ペルーは左CKからのリバウンドをMFエディソン・フローレス(モレリア)が左足で強烈なシュートを放ったが、ゴールポストを際どく外れる。
ペルーのリカルド・ガレカ監督は、アタッカーを次々と投入して勝負に出る。
もしこの時間帯でペルーが追いつけば、ブラジルは残り時間と延長30分を10人でプレーしなければならない。
となれば、極めて厳しい状況に追い込まれるところだった。しかし、ブラジルは全員が懸命に走ってペルーの猛攻に抗う。ゴール前の空中戦では、チアゴ・シウバらが必死に跳ね返した。
「カンペオン・ヴォウトウ!」
勝負の行方が明らかになったのは、87分のことだった。左サイドからエヴェルトンがドリブルでゴール前へ切れ込み、ペルーのDFカルロス・サンブラーノ(バーゼル)と激しく当たって倒れる。主審はブラジルにPKを与え、これをFWリシャルリソン(エバートン)が決めた。
地元の観衆は喜びを爆発させ、「カンペオン・ヴォウトウ!」(チャンピオンが返ってきた!)のコールを繰り返す。スタジアム中が大騒ぎになった状態で、主審が試合終了のホイッスルを吹いた。
ブラジルは2007年以来、12年ぶり9度目の優勝を遂げたが、ペルーの健闘も見事だった。大会MVPにはブラジルの主将としてチームをまとめ、攻守に奮闘したダニエウ・アウベスが選ばれ、得点王には3得点のエヴェルトンとゲレーロが輝いた。