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一度はブラジルに惨敗のペルーが、
番狂わせ連発でコパ決勝進出の理由。
posted2019/07/07 12:00
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
Getty Images
「ブランキロハ(「白と赤」の意。ペルー代表の愛称)が得点をあげる度に、人々は狂ったように叫び、躍り上がり、抱き合った。パブリック・ビューイングの会場で、親戚や友人の家で、そして自宅でね。深夜、試合が終わると一斉に街へ繰り出し、車が大音響でクラクションを鳴らして走り回った。それがペルー全土で、明け方まで続いたんだ。感極まって泣きじゃくる人も大勢いたな……」
試合翌日、ペルーの首都リマ在住の知人は電話口でまだ興奮冷めやらぬ様子だった。無理もない。伏兵が準々決勝、準決勝で優勝候補を次々となぎ倒し、1975年以来、実に44年ぶりに南米王者を争う舞台に立つのだから。
グループステージ(GS)ではベネズエラとスコアレスドローで、南米最弱のボリビアにこそ3-1で勝ったものの、開催国ブラジルには0-5の惨敗。グループ3位に終わり、辛うじて準々決勝に駒を進めた。
ブラジル戦の「0-5」に痛烈な批判。
ブラジル戦では、序盤にCKから失点し、GKペドロ・ガレーセ(アリアンサ・リマ)がキックをブラジルのFWフィルミーノ(リバプール)に当てる痛恨のミスで2点目を献上。これで選手たちの緊張の糸が切れ、ずるずると失点を重ねた。
国内メディアからは、試合を台無しにしたGKガレーセら主力選手が痛烈に批判された。
大舞台で大敗すると、選手たちは大きなショックを受ける。
そんなチームを短期間に立て直すのは、極めて困難だ。しかも、準々決勝の相手は格上のウルグアイ。試合前日の公式会見で、リカルド・ガレカ監督が「我々は、すでにブラジル戦の痛手から立ち直っている」と語ったが、その言葉を信じた者はほとんどいなかったはずだ。