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一度はブラジルに惨敗のペルーが、
番狂わせ連発でコパ決勝進出の理由。
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byGetty Images
posted2019/07/07 12:00
ウルグアイ、チリを連破したのは運だけでない。ペルー代表が地力としたたかさを持っているからだ。
守護神が戦犯扱いから一転英雄に。
ところが、ペルーはブラジル戦とは全く別のチームになっていた。
高い位置から複数の選手が連動し、強いプレスをかけて相手ボールを奪う。ルイス・スアレス(バルセロナ)、エディンソン・カバーニ(パリ・サンジェルマン)らスーパースターに対しても、激しく体を寄せて自由にプレーさせない。
そして、鋭いカウンターを繰り出して相手ゴールを脅かす。90分間を終えてスコアレスドローで、PK戦による決着となったが、ウルグアイの最初のキッカーであるスアレスのキックを、GKガレーセが見事に止める。ペルーは5人全員が決め、勝利を手にした。選手たちは抱き合い、戦犯扱いされたブラジル戦から一転してヒーローとなったGKガレーセに手荒い祝福を浴びせた。
地元紙は「夢が現実になった」。
準決勝のチリ戦は、会心の勝利だった。この試合でも選手全員が激しく守り、チリの攻撃を封じる。特に攻守の要のMFアルトゥーロ・ビダル(バルセロナ)を徹底的にマークし、仕事をさせなかった。
正確なロングパスから右サイドで起点を作り、MFエディンソン・フローレス(モレリア)が左足で叩き込んで先制。相手GKのミスに乗じてMFジョシマール・ジョトゥン(クルス・アスル)が決め、後半アディショナルタイムにもMFレナト・タピア(ヴィレムII)のスルーパスを受けたFWパオロ・ゲレーロ(インテルナシオナル)がGKをかわして決めた。
この試合でも、GKガレーセが最終盤のPKを含む数度のピンチを見事に防いだ。こうして、ペルーはGSで日本が勝てなかったウルグアイとチリを退け、7日のブラジルとの決勝に駒を進めたのだ。
試合の翌日、ペルーの日刊紙『ラ・レプブリカ』は、「近年で最高の試合」と称賛。「夢が現実になった」とすべてのペルー人の気持ちを代弁した。
ペルーは、全選手が献身的に守り、ショートパスをつないで、あるいは精度の高いロングパスを用いてのカウンターで貪欲にゴールを狙う。
守備の中心は長身で空中戦に強いセンターバックのカルロス・サンブラーノ(バーゼル)で、ジョトゥン、タピアの両ボランチが攻守両面で貢献し、テクニシャンのMFクリィスティアン・クエバ(サントス)が攻撃を組み立て、屈強なFWゲレーロが決める。サイド攻撃も強力だ。