“追われる立場”は大きな財産。

「僕自身も見たことない光景を見れた。一歩前進して成長したなと思うし、新たな歩みを続けないといけない。決して一過性のものになってはいけないんです。追う立場から追われる立場になることは難しいけど、それを初めて気づけることが、彼らにとって大きな価値。日体大柏が初めてそういう立場になれたことは、チームにとって大きな財産になると思う」（酒井監督）

　千葉県のサッカー史に新たなる歴史を刻んだ日体大柏。その裏には柏レイソルとの密接な関係と、酒井監督と選手たちの「勝ちたい」という熱い思いがあった。

「選手たちはU-18に上がれなかった悔しさを持ってやってくれるし、全国に出たいと純粋に思って一生懸命取り組んでいる。だからこそ、僕はこれからも『日体大柏のサッカー』をちゃんと伝える。それだけではなく、高体連の良さであるファイトする部分だったり、走り勝つこと、球際の激しさ、個で突破することなど、自分の良さを最大限に発揮できる環境にしたい。

　コレクティブなサッカーはこれからも追求するけど、時にはハイブリッドなサッカーもやる。どんどん個性を出して、積極的にチャレンジしてほしいと伝えていきたい」

　まずは来月のインターハイで千葉県代表として堂々とプレーすること、そして高校選手権予選、その先にある選手権に向けてさらなる進化を目指す。

　安定した土台を築いていくために、酒井監督は理想と現実の狭間で情熱を燃やし、日体大柏の門を叩いた実直な選手たちと共に力強く歩んでいく。

「千葉は2強だけじゃない」という強烈な自己主張をしながら――。